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果て無き夢へ
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第十六話  島の誇りにかけて







1回裏を終了。スコアは0−2。フェニックスが初回、長井の豪快なパワーを見せ付けて素早く先制した。
初登板の川口は、いきなり手痛い一発を浴びた。
そして高いバックスクリーンをゆうに越えた長井の場外ホームラン。
下手をすれば、ルーキーの川口は立ち直れないかもしれない。
キャッチャーの工藤は、とにかく早い段階で追いついてくれることを祈っていた。










大西:「うらっ!」
大西が波田のストレートをセンターへとはじき返す。それが弾丸ライナーで伸びていく。
センターは必死に追いかけるが、打球のスピードが速い。
何せ、151キロのストレートに大西のパワーが加わっているのだ。打球は少しずつ風の影響を受けて伸びていく。
そして、バックスクリーンの根元の部分に、歪な音を立てて打球は突き刺さった。
斉藤:「あちゃ〜。ホームランになっちゃうと・・・。まずった・・・」
大西は悠々とダイヤモンドを一周し始める。これで大西の本塁打は3本目。速いペースで量産している。
マウンドで、波田が「残念!!」といっているのが、かすかに大西の耳に届いた。
だが、そんなことは気にせずにホームを踏む。これで1−2。
続く川崎、小坂は凡打に倒れる。修吾も、落差の大きいフォークとカーブに翻弄され、第一打席はレフとライナーに終わった。
修吾:「くっそー!並ならない変化量だ!!」
悔しそうに舌打ちをしながら、修吾はベンチへと戻ってきた。
だが、やはり気にかかる。秋葉のあの言葉・・・









秋葉:「明日は、理緒の月命日だぞ・・・」










修吾:「(理緒のことは気になる。けれど・・・今俺はグラウンドに立っている。・・・試合に集中しなきゃ)」
必死に気持ちを切り替えて、ファーストミットをはめてグラウンドへと戻った。











川口は、工藤の丁寧なリードに助けられ、6,7,8番打者を3者凡退に抑えて切り抜けた。
しかし、キラーズも3回表。反撃ののろしは上がらず、工藤はサードゴロ、川口見逃しの三振、林はセンターフライと揮わなかった。
3回裏。気持ちの落ち着いてきた川口は、9番波田を見逃しの三振に押さえると、1番打者の安達をピッチャーフライに、2番板倉を詰まらせたファーストゴロに打ち取った。
そして4回表。
打順は、2番の廣瀬からだった。
2回表に大西のホームランが飛び出した以後は、湿った感じのキラーズ打線。
波田の150キロを越えるストレートと、変化量の大きいカーブとフォークに翻弄され、本来の力が出せないでいる。
廣瀬:「(この嫌なムード・・・断ち切るべ!)」
ぎゅっとバットのグリップを握ると、いつものように右打席に入った。





斉藤:「(さーて、2順目とです・・・)」
斉藤は、今度は廣瀬にささやき戦術を遣おうとはしなかった。その代わり、廣瀬な得意なコースにあえて波田のストレートを要求した。
波田:「(でもあんた・・・僕のストレートは打てませんから!!残念!!)」
波田はきれいに腕を大きく振りぬいた。
そしてストレートは、廣瀬の得意なコース、真ん中低目へと決まる。
審判:「ストライク!!」
廣瀬:「うげぇ!(オラの一番得意なコースだべ・・・ふればよかったべ)」
まぶたをこする廣瀬。これでもう、見誤ることはないだろう。
攻めの姿勢を忘れ、受身になったら負けだ。堂々と向かっていこう!
そういう気持ちで、スタンスを構えなおした。
マウンドの波田がモーションにゆっくりと入る。
振りかぶって、その左足を上げ、地面へと下ろす。
それと同時に波田の右腕がしなる。右足から左足への体重移動。
全身全霊を込めて、波田が白球を斉藤のミットめがけて投げ込む。
廣瀬:「(打つ!オラの誇りにかけても打つべ!!)」
廣瀬の誇り・・・それはどんな逆境でもあきらめないこと。
それが廣瀬の育った島の男の魂であり、誇りでもあるから。
斉藤:「(打たせんと。このコース、今の廣瀬じゃ打てんと。確証はある)」
斉藤は自信満々にリードをとっている。意地と意地がぶつかり合う。
廣瀬:「おらぁ!」






バットを振りにいく。波田の投じたストレートが、廣瀬の魂に負けた。
波田:「(な、僕のストレートを持って行った?!)」
波田は、廣瀬のバットから快音が聞こえたかと想うと、即座に打球の飛んだ方向へと振り向く。
動揺を隠せない。
斉藤:「(ぬっ・・・。ここは苦手なはずとです。なんという・・・)」
マスクをはずして打球の行方を見ている斉藤も、ふと心の中で廣瀬の根性に敬服した。
打球はワンバウンドでフェンスに当たり、クッションボールをレフとが納め、ショートへ中継。
記録は二塁打。得点圏にランナーをノーヒットで進めた。
監督:「仲嶋!」
ネクストバッターの仲嶋が打席に向かうのを、監督の石原が呼び止める。



監督:「送りバントを頼む」
仲嶋:「サインで出してくださいよ」
監督の伝令に、少し反論する仲嶋。
監督:「バカ。お前はいつも見落としているだろうが!!」
監督に一括され、「すいません」といって打席へと入った仲嶋。
波田はセットポジションから仲嶋に対しカーブではいる。
だが、仲嶋は鮮やかにバントの構えを取り、ボールをミートさせた。
ボールは、一塁線上をころころと転がっては行くが、切れはしない。
ファーストの長井がこれを捕球、仲嶋にタッチして1死を取る。だが、ランナーの廣瀬はしっかり3塁へと進んだ。










大西:「さーて、俺の出番だな・・・」










大西はネクストバッターズサークルから立ち上がると、大きく伸びをした。










アナウンス:「4番 ライト 大西!!」










レフトスタンドが同時に沸きあがった。










大西:「鮮やかに逆転と行こうじゃないの?・・・鮮やかにさ・・・」









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