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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第十三話  フェニックスの頭脳、斉藤







神宮フェニックスの本拠地の東京渋谷にある渋谷不死鳥球場。
両翼98メートル。センター115メートルという球場だ。
収容人数はおおよそ3万8千人。7回裏には、電光掲示板で日替わりにイベントらしきものが行われるのが特徴だ。









先攻 鳴門キラーズ
1 二 林
2 左 廣瀬
3 中 仲嶋
4 右 大西
5 三 川崎
6 遊 小坂
7 一 竹内
8 捕 工藤
9 投 川口







後攻 神宮フェニックス
1 中 安達
2 遊 板倉
3 捕 斉藤
4 一 長井
5 三 大牟田
6 左 梶浦
7 右 馬場
8 二 石狩
9 投 波田








審判のプレーボールで、試合が始まる。
フェニックスの先発投手は波田。
縫い目を確かめてから、捕手の斉藤のサインにゆっくりとうなずく。
打席に入っているのは、1番打者の林。
林:「さーて・・・。(こいつはどんな投球をしてくるのか・・・)」
林は、スタンスを取りながらマウンドの波田を見る。
波田が振りかぶる。オーバースローだ。
そしてそこから、腕を鞭のようにしならせてボールをリリースする。
斉藤のミットが、いい音を立てて球場全体に響かせた。


審判:「ストライク!!」


球速は152キロ。波田自身がマークした最高球速タイの速度である。
林:「(ふーん。本格派・・・か?)」
2球目もストレートが内角低めに決まる。波田は、ぽんぽんと林を追い込んだ。
林:「次は何で来るつもりで・・・?」
林は捕手の斉藤に小さく声をかける。斉藤は返してくる。
斉藤:「別に何でもいいと。それども、打てる自信ばあるっちゃーの?」
林:「わけわかんねぇよ」
斉藤:「すまないすまない。癖だ。まぁ、・・・打てないと想うが」
斉藤はそう呟くと、にやりと不敵な笑みを浮かべた。
林にはそれが不気味に思えた。
林:「(何で来るつもりだ・・・?)」
波田が振りかぶる。そしてリリースされたボールは、真ん中よりのコースへと来た。
林:「絶好球!(もらった!!)」






だが、ボールは林の出したバットの軌道には乗らず、下へと鋭く落ちた。
その角度は強く、落差も大きかった。斉藤は、波田のフォークボールをワンバウンドでキャッチした。
しかし、その難しいボールをキャッチする斉藤のキャッチング技術もものすごい。
審判:「ストライク!バッターアウト!!」
林:「マジかよ・・・あんなフォークあり?」
うなだれる林に、斉藤はそっとささやいて見せた。




斉藤:「相手の裏をかく戦術も相手の集中力を奪う戦術も、立派な作戦だぜ・・・」








2番打者の廣瀬が入る。
斉藤:「よろしく」
廣瀬:「はぁ?い、いきなりなんだべ?」
廣瀬は、いきなり捕手から話しかけられたので、いささか戸惑う。
斉藤:「まぁ、そんなに固くならんと」
斉藤は再び不敵に笑ってみせる。波田は振りかぶってボールをリリース。
ストレートが勢いよく斉藤のミットに納まる。これでワンストライク。
廣瀬:「うっひゃ〜。速いべさ〜」
斉藤:「150キロか。もっと出たとよ、林って奴のときは」
斉藤はそういって波田にボールを返す。
廣瀬:「ぞくぞくしてくるべさ。こういうストレートの速いバッターはびりびりするべさ」
廣瀬はわくわくしながらスタンスを取る。純粋に真っ向勝負を挑む姿勢だ。
斉藤はまたもストレートを要求。外角高めにストレートが来る。
廣瀬はこれにバットを出すが、ボールはファーストベースの横をぼてぼてと転がって行きファール。
カウントは2−0となった。
そして3球目はお約束のフォークボール。だが、廣瀬はかろうじてそれをカットする。
斉藤:「よく反応したとよ。褒めちゃる」
廣瀬:「て、照れるっぺ・・・」
廣瀬はそういって、少しずれたヘルメットを元どおりに戻した。
目線をピッチャーの波田に向ける。
斉藤:「(さーて、次はこいつで・・・)」
斉藤は波田にサインを指示した。波田はうなずき、振りかぶる。
そしてリリース!
廣瀬:「(やけにゆっくりだべ・・・チェンジアップでも投げたべか?」
廣瀬は心の中でタイミングを図る。だが、波田の投げたボールは、真っ直ぐは来なかった。




右投げの波田が投げたそのボールは、右打者の廣瀬から外へ逃げていくように曲がった。



カーブである。しかも、その角度がまたすさまじい。
廣瀬:「んなっ!!」
審判:「ストライク!バッターアウト!!」
廣瀬:「さっきのフォークもすごかったべが、今度のカーブもすごいキレだべ・・・」




斉藤:「いったとおりとよ。勝負において、何事にも油断はならないとよ」





斉藤は再び、不敵に笑って見せた。









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