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果て無き夢へ登場人物


第十四話  川口、初登板!







続く仲嶋も、センターフライに打ち取られ、キラーズは初回無得点で終了した。
そして今度は守りに入る。
マウンドには、自由獲得枠で入団したルーキーの川口が立っていた。



工藤:「サインの確認は、これでOKだな。」
緊張した面持ちの川口に、スタメンマスクをかぶる工藤が駆け寄った。
川口:「えぇ。大丈夫です」
工藤:「よし、初登板だし、びびるなよ」
工藤はミットで川口の背中をぽんと叩くと、定位置へと戻った。



川口は深呼吸をする。猛西大学のときも、ここの球場にはお世話になった。
土の感覚は、卒業してから日が浅いため、覚えている。
川口:「(大丈夫。オレのピッチングをそのまますればいいんだ)」
バッターボックスに、1番の安達が入る。工藤のサインに、川口はうなずいた。













1番安達、2番板倉をサードゴロとファーストフライに討ち取った川口。
ここまでは順調だ。立ち上がりの不安は、今のところはないといえる。
川口は、ふぅとまた深呼吸をする。
空を見上げれば、満天の星空。心が落ち着いていく。
ここで3番、守備面では波田をうまくリードした捕手の斉藤を迎える。
斉藤:「さぁ、どうくるよ、キャッチャー?」
斉藤は打席に入るなりいきなり工藤に声をかけた。
だが、その目論見を工藤は理解している。
工藤:「(こいつ、相変わらずのささやき戦術だな。打席に入ってもささやいてくるか・・・)」
工藤と斉藤は、以前オールスターで一緒になったことがある。
そのとき、斉藤は自分のささやき戦術を工藤に強引に伝授しようとしていた。
だが、配球など、スタイルが違う工藤はそれを受け入れようとはしなかったが、彼の話だけは聞いておいた。
それほど、斉藤は自分の話術に自信を持っている。
工藤:「(だけどこいつ、守備だけじゃなく、打撃もすげぇからな・・・)」
川口にスライダーを要求する工藤。そのとおり、スライダーが低めにきま・・・ろうとしていた・・・



斉藤:「無〜駄無駄。甘い球は通用しないと」
キーンと快音を残し、斉藤はきれいに流し打ち。ライトの大西の前に打球は落ちた。
斉藤はすでに1塁を駆け抜けていた。足もなかなかといっていいほど速い。
そして川口は1塁に走者を背負い、4番を迎えることとなる。










アナウンス:「4番・・・ファースト 長井」











アナウンスがコールされると、工藤はすぐにタイムをかけた。
そして、内野陣に全員集合するように指示する。
初回から内野を全員集わせるのは、かなり異例なことである。
工藤:「川口、そしてみんな。今から向かえる打者が、昨シーズンの本塁打王ってことくらいは知ってるだろ?」
修吾以外の4人がうんうんと首を縦に振る中、
修吾:「えっ!そうなんですか!?知らなかった!!」
と修吾は素っ頓狂な声を上げた。工藤はあきれて手を額に当てる。
あちゃーとでも行っているようだった。
小坂:「もう少し情報収集しておいたほうがいいんじゃねぇの。おバカさん」
小坂がくすくすと笑いながら修吾に言った。少しむっとしながら、修吾は、
修吾:「データとかそういうの、苦手なんですよ・・・」
と、顔を伏せながら答えた。
工藤:「とにかく、長井のパワーはドルフィンズのバラン=リチャードより上かもしれない。当たったら長打くらいの覚悟で行かないと・・・」
川崎:「つまり、僕たちにやや後退シフトを取れ、ということだね」
工藤が言い終えると、悟ったように川崎がいった。
工藤はその言葉を待っていたかのように、切り出していく。
工藤:「だから、打球はかなり強い。キャッチしたら手がしびれる恐れもある。だけど、勝負には逃げたくない、だろ?」
工藤は目線を川口に移す。だが、その心配はなかった。
川口:「もちろん!やるだけやりますよ!!」
川口が気を吐いた。そしてそのムードに乗じるかのように、他の選手たちも目を合わせ、「おう!」と掛け声をかける。
工藤:「頼むぞ。真剣勝負だ!!」







工藤は、持っていたボールを川口のグローブの中へと収めた。
若き左腕に、多くの期待を込めて・・・。









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