パワプロについて
├パワプロとは何か?
├パワプロシリーズ検証
└登場人物紹介


掲示板
以下の掲示板は、左フレームのBBSのBBSメニューからもいけます。
パワプロ専用掲示板
連絡用掲示板


パワプロ小説
以下の小説は、左フレームのNOVELのメニューからもいけます。
果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第十一話  Calling to you







時雨は携帯を使って、若奈と話していた。なるべく、その会話の内容が聞こえないように、手で押さえながら・・・


若奈:「それはそうと、時雨さん、ノーヒットノーランおめでとうございます。同じピッチャーとして、尊敬しますよ」
若奈は、少々笑いながらいった。やはり、親しい人のうれしいことは、自分もうれしくなってくる。
時雨:「んっ?そう?いや、マグレマグレ。はは。最後は少しひんやりしたけどね」
時雨は少し笑いながら返したが、最後は言葉を詰まらせるように行った。

若奈:「クロー・クリス・・・ですね」

ずばりと答えを言われ、時雨は返す言葉を捜した。

時雨:「・・・ビンゴ。あいつ、オレの高速スライダー、いとも簡単にはじき返しやがった・・・」
若奈:「ショックなんじゃないんですか?」
時雨は若奈から言葉を受けると、少し呼吸を整えた。図星だ。

時雨:「それもビンゴ。若奈ちゃん、エスパー?」
若奈:「違います!それはそうと、あたしたちとの試合、投げる予定あるんですか?」
時雨:「一応、3戦目。あぁ、つらいつらい。エンジェルス戦が一番つらいのだよ」
若奈:「手加減はしないでください」
若奈は時雨の軽い態度に少しむっとし、少々きつく言葉を返した。
若奈は手加減や逃げ出す勝負が一番嫌いだ。つまりは、中途半端が嫌いなのである。
時雨は戸惑う。やはり、手を抜いてしまっているのか・・・?と
時雨:「そんなつもりはないんだけど・・・だけど、負けはしない」
若奈:「それはあたしも同じです」
会話の途中の時雨の元に、酔った選手がへらへらと笑いながら話しかけてきた。
選手:「おー、時雨!なんだなんだ?ホームシックになってでんわかぁ?ん〜?」
相当酒臭い。吹きかけられた息を、いやそうな顔をして時雨は手でのけた。
そして、ケータイの口を押さえながら、選手に注意する。
時雨:「新城さん、明日試合なのに、二日酔いでダウンなんてしたらおじいちゃん怒りますよ?」
時雨は酔った新城という選手に声をかける。酒を飲んでいることから、20歳以上であることは確かだ。
新城:「うるせ゛ぇ〜。お〜し、アラケンサンバ踊るぞ〜」
新城の一声で集まったランナウェイズの選手たちは盛り上がる。
まぁ、マ○ケンサンバという過去にヒットしたダンスナンバーの新城流アレンジなのだが・・・
荒木はどこから持ってきたか知らないが、ネクタイを額に巻きつけ、なにやら奇妙な効果音を口走りながら踊り始めた。
新城が自分から離れると、時雨は再び会話に戻った。

時雨:「聞こえた・・・?」

若奈:「ばっちり。アラケンサンバ、存分に楽しんでください!」

半ば強引に若奈は通話を終了した。そして、頭を抱える。
若奈:「(またやっちゃった・・・。時雨さんと話すと・・・素直になれない・・・)」
彼の態度にも問題があるのだ。かなり強引に迫ってくるし、優しいけれど・・・乙女心はわからないし。
そんな彼と同じ高校を卒業したという経歴。同級生という現状。さらにライバル。
若奈:「少しは・・・考えさせてください・・・」
若奈はそういうと、泊まっているホテルのふかふかのベッドへと身をゆだねた。
自分の気持ちに、素直になれないことはわかっているのに・・・




対して、時雨は新城のサンバに付き合わされる羽目になった。
軽快にステップを踏む新城の隣で、半分顔を伏せながら同じ振り付けをする時雨。
時雨:「とほほ・・・(若奈に電話は切られるし、やりたくもないサンバを踊るわ・・・はぁ・・・)」
踊っている新城 健はのりのりだ。夜中ということを忘れて、テンションアゲアゲで踊りまくる。
時雨のテンションはどんどん下がる。
新城:「アラケンサンバ!フゥッ!!」
最後はジャクソンが入った・・・。これもパクリだ・・・。
時雨:「勘弁してくれー!!」
時雨の悲痛な叫びは、今の状況ではただの場沸かしに過ぎない。










修吾は、ホテルにつき、自分の部屋にチェックインすると、バックから一枚の写真を取り出した。
それは、高校1年のときの修吾と、隣にいる少女がほほえましく笑っている姿。

「第○○回東東京地区優勝 流紋高校」

修吾は高校2年のときに突然入部した・・・。とはいっても、それは再入部だったのだ。
高校1年の秋までは、修吾は正式な野球部員だった。夏の大会では、ベンチ入りも果たすほどだった。
だが、理緒の死が修吾を野球から一時期遠ざけた。
でも、修吾を野球の道へと復活させたのも、理緒が最期に書いた手紙だった。
そして高校2年の夏。すべてをゼロにしての再入部だった。
その過去を、修吾は忘れない。だけど、修吾の過去は、本人の口からいずれ語られる。
写真をバックの中に戻すと、修吾は深い眠りについた。










翌朝。
ホテルの部屋に、朝食が運び込まれた。
修吾はそれを受け取る。トレイを運んできたボーイに、ありがとう、と声をかけると、部屋に戻って朝食を食べ始める。
修吾:「いただきます」
そう静かに言って、朝食をいただくことにする。と、そばにおいてあった携帯がなった。
修吾:「電話・・・?こんな朝っぱらから、誰だ?」
修吾は電話の液晶サブディスプレイを見る。すると、そこには最近連絡の取れなかった旧友の名前があった・・・。










修吾:「あ・・・秋葉・・・」









次へ    果て無き夢へTOPへ