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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第十話  復讐の矛先







キラーズVSドルフィンズの開幕戦は、最終的には6−2でキラーズが勝利を収めた。
しかし、ドルフィンズの主砲・バラン=リチャードは1HRとタイムリーツーベースを放つなどで、その存在感をアピールした。
徳島のドクターKの異名を持つ条辺は、7回を投げて14奪三振。
8回、9回を鬼頭がしめて、開幕戦を飾った。
大西にグランドスラムが飛び出した後は、代打で出場した珂日がタイムリーヒットを放ち駄目押しの6点目を加点した。
そして、誰もいなくなったはずのグラウンドに、2人の男がいた。






猿鳶:「蔵田・・・僕を呼び出して、何をするつもりなんだ?」

猿鳶は、マウンドに立つ蔵田へ向けて一言言い放った。
蔵田:「猿鳶よぉ・・・オレ様はなさけねぇことに2軍落ちしちまったよ・・・ふざけた話だろ?」

蔵田はそういってから、一呼吸おいて想いっきり叫んだ。



蔵田:「もう貴様に復讐できるチャンスがねぇんだよ!!」



猿鳶はその言葉を受けた瞬間、胸が痛くなった。過去の自分の過ちが、まざまざと思い返される。
猿鳶:「キミは・・・そんなにキラーズを・・・僕を憎むのか・・・」
落ち着いた口調で、猿鳶はマウンドの蔵田へと声をかける。
蔵田はその問いかけに即答した。
蔵田:「そうだ!オレを追い出したこの球団を!その原因を作ったお前に対して復讐するために、今日まで生きる理由にしてきた!」
猿鳶:「僕のしょうもない勝負を受けたのは君だ。責務はキミにもあるはずだ」
蔵田:「ふざけんな!!」
蔵田は足でマウンドの土を蹴り上げた。砂煙が舞う。
蔵田:「お前のせいだ・・・」

猿鳶はバットを取り出す。蔵田が何を言いたいのかは、なんとなく理解できた気がした。

猿鳶:「キミはいつも・・・自分中心の考えしかできないんだね・・・」

蔵田:「貴様もだろうが!!」

猿鳶:「ふっ・・・“前までの僕”はね・・・」

蔵田:「なにぃっ?」

蔵田は因縁をこめたように聞き返す。猿鳶は、天を仰ぐようにしていった。
猿鳶:「教えられたんだよ・・・僕の生き方の間違いを」
ゆっくり猿鳶はバッターボックスに入った。

猿鳶:「今のキミじゃ僕には勝てない。前も、そして今も、今のままじゃ未来も永続的に!」

蔵田:「うるせぇ!!」
蔵田はその言葉を静止するかのように振りかぶる。投げるボールは決まっていた。
蔵田:「奇麗事だけ並べやがって!くそがっ!!」
キラースライダー。それが猿鳶の鳩尾に当たる。
猿鳶:「ぐっはぁ・・・」
蔵田:「ははっ!何が勝てないだよ!負けてんジャン!バカみてぇ!」
蔵田は3球連続して猿鳶にキラースライダーをお見舞いした。それで自分の行き場のない怒りが収まるわけでもないのに・・・

蔵田:「これくらいで勘弁してやるよ!負け犬!」

皮肉たっぷりにそういい残して、蔵田は球場を後にした。
猿鳶は、鳩尾を抱えながら、去る蔵田の後姿を眺めていた。
猿鳶:「キミは・・・道を踏み外してしまったのか・・・蔵田・・・」







キラーズとドルフィンズの開幕カードは、結局キラーズが2勝1分と勝ち越しを決めた。
エンジェルスとフェニックスのカードは、木ノ本、山内両投手の好投でエンジェルスが2勝1敗で勝ち越し。
ランナウェイズも、チェリーズのダークホース、クロー・クリスにてこずりながらも、時雨、そしてエースの藤原の好投で2勝1敗で勝ち越しを決める。
この時点で、キラーズが1位。そして、ランナウェイズとエンジェルスがそれを0.5差で追うという開幕カードの結果になった。
そしてキラーズは、今度は新幹線に乗り込む。これから東京へ向かうのだ。
修吾:「東京か・・・なんだかうきうきするな・・・気分的に」
修吾は、地元に戻ってきた気分でなんとなく気分が乗っていた。
珂日:「お土産買っとくか・・・。買えなくなるかもしれないし」
大西:「財布の中身は大丈夫なのか?」
仲嶋:「いつもピンチの珂日くんでーすw」
珂日:「や、やめろよっ!仲嶋〜」
と、4人組はいつもの調子だった。そして、指定された席に座る。
と、大西の携帯がぶるるとバイブレーションを奏でる。
大西:「わりぃ、ちと失礼」
大西は少し席をはずす。


向かい合って座っている3人は、顔を近づけてメールの相手を予想する。
珂日:「噂の“ミユ”ちゃん」
珂日がひっそりといった。
仲嶋:「俺もそう想う」
修吾:「同じく・・・」
ひそひそと怪しげに話す3人。それを見て石原監督はあきれていた。
石原:「子供じゃあるまいし・・・もう少ししっかりしてもらいたいものだ・・・」
川崎:「まぁまぁ、監督。彼らがキラーズを盛り上げてくれているキーマンたちじゃないですか」
監督の隣に座る川崎が、どうぞ、と監督に精神安定剤らしきカプセルを渡す。
監督は、「いいのか?」と尋ねるが、川崎は、「睡眠薬です。よく眠れますよ」とにっこり笑った。
そして川崎もそれを口に入れる。

川崎:「2時間くらいで切れますから。ま、東京着くまではゆっくりしましょう」
そういって、シートを少し後ろに倒して眠りについた。石原も、
石原:「・・・少し寝ておくか・・・疲れる・・・このチームは・・・」
うわ言のようにつぶやきながら、眠りについた。







大西:「(ずるいよ〜。負けてくれたっていいじゃん!でも、まだ始まったばかり。負けないからね!ミユ・・・か)」
彼女から送られてきたメールを読む大西。だが、続きがあることに気がついた。
大西:「(ん?P.S.・・・フェニックス戦が終わったら、今度はあたしたちエンジェルスと試合だね。手加減はしないでね)」
なるほど、と大西はうなずいた。そしてメールの返事を打つ。








大西:「手加減なんてするはずないぜ。勝つのは俺たち、キラーズだ。・・・P.S.・・・結婚のこと、前向きに考えてくれてるか・・・)」









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