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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第四十九話  闘い終わって・・・







審判:「ゲームセット!!」
9回表、キラーズ1点リードで迎えたカイザースの最終回の攻撃は、無常にもキラーズの守護神、佐々木の手によって阻まれた。
そして、佐々木はマウンドを降りた。
守備陣も素早くベンチへ戻っていく。カイザースも同じだ。
後藤田:「く、くそっ・・・」
友沢:「・・・」
獅子村:「あちゃー。負けちゃったか・・・」
カイザースのムードはどんよりとしていたが、監督が「帰るぞ」と一言言うと、選手たちの目つきは見る見るうちに変わっていった。
水瀬:「・・・」






修吾は着替えを終えて、このグラウンドに戻っていた。
誰もいない球場。
さっきまで、あのフェンスのほうにもちらちらと人は見えていたのだが、もはやもぬけの殻である。
風の音が聞こえるくらい、静かだった。

修吾は想う。
愛していた人が、自分のために力を貸してくれた、と。





修吾:「二度と逢えないと想ったよ・・・理緒・・・」
修吾はリストバンドをはずした。
生々しく浮かび上がった、横に縦に何本も入った線。
それはもうひどいさまで、変色もしていた。
一目でわかる傷跡だった。








リストカット・・・









修吾の触れてはならない過去。
そして、修吾はその傷跡を優しくさすり、また空を見上げる。
この彼方に、昔愛した人がいる。
そして、愛したまま逝ってしまった人が笑っている。
修吾もまた、生かされている。
またリストバンドをはめなおすと、修吾は球場を出た。












水瀬:「よう、竹内」
球場の入り口のドアを開けると、水瀬が待ち構えていた。
修吾:「水瀬さん・・・何のようですか・・・?」
すると、水瀬は右手を差し出した。
水瀬:「ナイスホームラン・・・大震災を初めて完璧にぶち込まれた・・・」
修吾も、その右手を握り返す。
がっちり握手を交わす二人。
水瀬:「お前の瞳、哀しそうだ・・・」
修吾は想わず、えっ、と声を上げる。
予想外の言葉を、水瀬からかけられたからだ。
水瀬:「マウンドとバッターボックスは18メートル近く離れてるけど、それでも表情くらいは見える」
修吾:「・・・」
水瀬:「お前も、なんか苦しいもん背負ってるのか?」
答えない修吾。
答えられない修吾。
答えたくない修吾。
修吾は、しぶしぶこくりと首を縦に振った。
水瀬:「・・・そうか・・お前もか・・・」
修吾:「ぇ?」
水瀬:「俺もな。哀しいことがあったんだよ・・・震災で家族をなくした・・・」
修吾はその言葉を聴き、想わず胸が痛くなった。
自分は、自分は・・・
水瀬:「何も言わなくていいぜ・・・」
水瀬は握っていた右手を離すと、そっと修吾の目の前に拳を作って突き出した。
水瀬:「お前らキラーズはセ・リーグ。対する俺らはジ・リーグだ」
修吾:「はい・・・」
水瀬:「日本シリーズで待っている・・・勝ち上がってこい!」
強く言い放った水瀬。
そして修吾も、その水瀬の拳に自分の拳をぶつける。









水瀬:「(じゃぁな、竹内・・・そして、また逢おう・・・)」









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