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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第五十話  微妙な二人







木ノ本 若奈。23歳。プロ入り5年目、今ではエンジェルスのエースを務める女性だ。
彼女は、家に戻り、鍵のかかっているはずのノブに鍵を差し込む。
これで開いたはずだった。
若奈:「・・・あれ?」
おかしい。開かない。つまり答えは、すでに開いていた、ということだ。
彼女はしばし考え込む。家を出るとき鍵はかけた。2階も確認した。
ということはだ。空き巣が入っている・・・・
彼女は急いで鍵を開けて、自宅へと入った。
若奈:「誰!勝手に人のうちに入っているの!!」
??:「ぁ、おかえり〜〜w」
若奈が怒り狂った声を上げたのは対照的に、軽そうでのんきな男の声が、奥の部屋から聞こえてくる。
その声で誰がいるのかわかった若奈は、すたすたと廊下を歩いていき、奥の部屋のドアを開ける。
若奈:「時雨さん、勝手に入らないでください・・・」
若奈が呼んだ時雨という男・・・そう、正真正銘の木更津ランナウェイズの時雨だったのだ。
時雨:「勝手じゃないよ・・・そっちのケータイに、5通くらいメール送ったはずだよ、うん」
あわてて若奈はケータイの電源を入れる。未読メール14通。その中に、確かに5通、時雨から
「今日、泊まらせてくれない?」
というメールがあった。
時雨:「無許可じゃないぜw」
若奈:「合鍵持ってるからって・・・外で待っててくださいよ・・・」
時雨:「そーんな連れないこと言うなよ、若奈ちゃんw」
若奈:「その呼び方やめてください」
時雨:「じゃ、・・・若奈」
若奈:「殺しますよ」
時雨:「まーてまてまて。てか、一応俺も有名人、キミも有名人。外にいたらますますどっかの奥様雑誌の記事になっちゃうジャン?」
若奈:「そうですけど・・・」
時雨のテンションの高さに、若奈は正直参っている。
だが、時雨は飲んでいた缶コーヒーを飲み干すと、若奈に真剣な目で語りかけた。
時雨:「オープン戦、どうだった?」
若奈:「2勝しましたよ。チェリーズと叩売に」
時雨:「俺も2勝。フェニックスととんこつ」
若奈:「引き分けですね、今回も」
時雨:「シーズンに持ち越しになっちまったなぁ・・・」
二人はプロ入りからずっと勝負をしている。この二人は、同じ高校の出身だったのだ。
若奈は地元の女性球団エンジェルスからオファーが、対する時雨は千葉のほうまで行った。
時雨に合鍵を作った若奈の気持ちとしては、本当は持ってほしくなかった、といっていい。
案の定、勝手に入り込んだり、事情も知らずに寝泊りしていくことが多い。
ただ、彼がもたらしてくれる情報は、若奈にとっては万金の価値がある。さらに、彼の野球に対する姿勢も・・・
しかし、あまり異性としては意識はしていないし、恋愛対象にもなっていない、というところだ。
対する時雨。こちらはアピりまくりで、いつも空回り。
同僚にも同情されてしまうつらい男だ。
この二人の過去は、もう少し先で語りたいと想う・・・
時雨:「ところで、若奈」
若奈:「だからその呼び方は・・・」
時雨:「チェリーズに、新外国人が入ったぜ」
若奈:「ぇ?私が投げたときはそんなやついなかったけど・・・」
時雨:「なんでも、昨日獲得した選手だそうだ。名前はクロー・クリス。どっから来たのかもポジションがどこかも知らされてない」
若奈:「極秘・・・ってこと?」
時雨:「そういうこと。そして俺と若奈の関係も極秘」
若奈:「マジで殺りますよ・・・」
若奈が半キレだったので、時雨はそこで言葉をストップ。強引に若奈を抱き寄せる。
若奈:「ぁっ、ちょっ・・・」
時雨は寝息を立てて休みだす。今日、彼はとんこつ戦で完封をしてきたのだ。疲れている、無理もない。
コーヒーのカフェインですら無効果だったのである。
若奈:「・・・お疲れ様、時雨さん」
若奈はそういって、優しく時雨に膝枕をしてあげたのだった・・・。








そしてキラーズの寮では・・・




珂日:「今日は飲むぜ!!」
一同:「オーッ!!」
オープン戦の全日程が終わり、激しくはしゃぐキラーズの一同。
しかし、大西と修吾だけは席をはずしていた。





大西:「うん、うん・・・。そっか。・・・ん?そりゃ逢いたいけど・・・」
耳のピアスを触りながら、大西はケータイで誰かと話しをしている。
そこに修吾がやってきた。彼は星空を眺めに来たのだった。
大西:「ぁっ、後輩来たから・・・ごめんな、うん。遊園地な、わかった。俺も楽しみにしてるよ、じゃ、明日はがんばろうな。うん、お休み・・・」
ピッっと通話を終了する大西。
修吾:「誰と話していたんですか?」
大西:「企業秘密」
そういって大西は、修吾の横に並んだ。
そして、気にかけたことをぶつける。
大西:「理緒って・・・誰だい?」
修吾:「・・・俺の、恋人だった人です・・・」
大西:「恋人"だった”・・・?」
修吾:「死んだんです、理緒は・・・もういいですか?」
大西:「んっ・・・。あぁ・・・」
そして二人は、星空を眺めていた。
大西は電話の相手を想って、修吾は、力を貸してくれた理緒を想って・・・









第一部終幕

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