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果て無き夢へ
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第四十話  水瀬、少年時代







8番打者田上は掠ることなく三振。
水瀬の大震災のゆれ幅が大きくなったのだ。
田上:「(あんなボールをあいつは当てたのかよ・・・ただモンじゃないな・・コリャ)」
ベンチに戻ってくる田上。
結局、5回裏もキラーズは水瀬相手に点を取ることはなかった。






ベンチに戻ってきた水瀬。
次は自分の打順である。
バットケースから自分のバットを取り出し、ヘルメットを付け打席へ向かう。
しかしその表情は暗い。
松坂は、ストレートの威力を押さえ、軽く外角へ投げた。
これは田上の要求だった。
田上:「(打ち気じゃないだろう。威力を落としても、松坂さんなら・・・)」







キーン!





快音が響く。打球は修吾の左横をライナーで抜けていった。
そして、フェンスに当たる。







審判:「ファ、ファールボール!」





田上:「なっ・・・(ミート力もあるじゃないか、こいつ・・・)」
松坂:「手加減なんて、いらないな・・・」




しかしその後の水瀬は、バットを振ることなく三振に倒れた。
まるで松坂の甘い球に怒りをぶつけてそのまま終わったかのように・・・






松坂はその後、獅子村に内野安打を決められるものの、続く2番打者でゲッツーを取り、6回表を3人で切り上げた。
一方、キラーズ打線も水瀬の大震災への対抗策を考え始めていた。
そこで石原は、この男を代打としてバッターボックスへ向かわせる・・・。





アナウンス:「キラーズ、選手の交代をお知らせします。バッター松坂に変わりまして、珂日・・・背番号22」







キラーズベンチから、珂日に対して檄が飛ぶ。
仲嶋:「打ってこいよ!」
大西:「落ち着いていけ」
修吾:「頼みますよ・・・!」
珂日は振り返ることなく、右手でサインを作って送る。
珂日のきざなところが、少しだけ垣間見えた。




後藤田:「(珂日 信哉?そんなやつシラネェな・・・)」
後藤田はサインを出さない。
今の放心状態の水瀬が投げるのは、己の全てをこめたナックル:大震災のみ。
高井が倒れたとき、水瀬の過去の忘れたい記憶が一気によみがえってしまった。
それを、後藤田、そして友沢は知っている。彼がこの2人にだけ伝えていた事実。






水瀬:「オレは、震災で両親と兄妹を失った・・・」







後藤田:「(あいつの話を聞いたときは、ショックで、宿舎に帰ってから涙が止まらなかったぜ・・・)」
後藤田は水瀬が震災を受けた当時、水瀬と6歳違う後藤田は18歳で高校生3年生。
憧れの猪狩カイザースにドラフト2位で入団を決め、喜びの頂点にいたとき、12歳の水瀬は家族を失う不幸に見舞われていた。






1995 1・17







早朝未明、それは突然の揺れと共にやってきた。
野球少年だった水瀬少年は、毎朝5時30分から町内を走ることを日課にしていた。
甲子園に出場し、優勝して、憧れの猪狩カイザースへと入団するために。
当時、日本野球界ではジ・リーグはカイザース、セ・リーグはキラーズと人気球団が子供世代では分かれていた。
そんななか、水瀬少年は猪狩投手の活躍に憧れ、彼が入団すると決定したカイザースへの入団願望を強くした。
水瀬:「オレがドラフトにかかれば、憧れの猪狩さんたちと逢える!」
しかしその想いは、一瞬にして断ち切られることになろうものは、彼はまだ知らない。




5:46.52




それは、何の前触れもなく、突如水瀬少年の運命を大きく狂わせた。









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