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果て無き夢へ
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第三十九話  当てやがった・・・







5回表・・・
松坂は好投を続け、6,7,8番を三者凡退に抑えた。
サークルチェンジに全くタイミングの合わないカイザースの攻撃陣は、バットをいらだたせながらケースに収めた。
一方、キラーズも小坂が水瀬の大震災の前に倒れる。
そして、1死でこの男を迎える・・・。












アナウンス:「7番 ファースト、竹内」









修吾は、気合を入れなおして打席に立った。
修吾:「よしっ(もう、アレは思い出したくない・・・)」
修吾は、リストバンドの下に隠れた自分の過去を見つめる。
生々しい傷痕は、今でも残っている。しかし、自分はもう昔の竹内 修吾ではない。











マウンドの水瀬は、ぶつぶつとボールに語りかけている。
そして、ギュっとシームに自分の爪を食い込ませた。
水瀬:「父ちゃん・・・母ちゃん・・・」
そして投げる。
振りぬかれた腕から、強烈な無回転のナックルが修吾を襲う。

修吾:「くっ・・・」

審判:「ストラーイク!」
審判がストライクを宣告する。ボールは揺れながら後藤田のミットに吸い込まれたのだ。
修吾:「(間近で見ると、なんて変化だ・・・)」
ミットに収まった白球を、修吾はチラッと見る。
後藤田は難なく水瀬に返球。水瀬は再び何かを呟きだす。











水瀬の脳裏に、想いだしたくない光景が浮かび続けていた。
あの日、全てを失った自分。あの日、愛を忘れた自分。
水瀬は、その全てに何かの別れを告げるかのように、2球目の大震災を投げる。
修吾の握るバットに、力が入る。






ぐぐん、ぐ、ぐぐん・・・







大震災は大きく揺れ、後藤田のミットめがけ落ちてくる。
無回転ゆえに、捕球は非常に困難だが、後藤田の経験とキャッチングセンスで2ストライクを奪う。
後藤田:「(相変わらずすげぇ変化だぜ・・・)」
修吾はまたしても空振り。2回ともバットにボールがかすらなかった。
修吾:「(どうする・・・このままじゃ・・・)」
修吾は、何とか自分のバットにボールを当てることを考えていた。
マウンドからここまでの距離はおおよそ18メートル。だが、その18メートルが長く感じる。
大震災の滞空時間、そして突然襲い来る変化。
まさに、震災そのもの。縦揺れ横揺れお構いナシだ。
水瀬がモーションに入る。ゆっくりと修吾は深呼吸した。
そしてリリース!修吾はスイングに行く。
後藤田:「(当たらん。水瀬の苦労は、苦い過去は・・・)」










無常にも、ボールはバットの上を通過しようとする。








後藤田:「(誰にも味わえないつらさだ!)」



がしっ・・・








修吾はバットを振りぬいた。後藤田のミットに、納まったはずのボールがない。
後藤田:「どこだ!」
急いでマスクを外し、ボールの行方を追う後藤田。
ボールは、小フライとなって、バッターボックスから少し右に離れたところに落ちてきた。
難なくキャッチ。修吾はキャッチャーフライに倒れた。
審判:「ア、アウト!!」
修吾:「くそぅ!(だめだったか・・・)」
しかし、ボールをキャッチした後藤田は修吾を見ていた。
後藤田:「(このルーキー・・・当てやがった・・・)」
同じく、水瀬も修吾を見ていた。
水瀬:「(当てられた・・・当てられた・・・父ちゃん、母ちゃん、どうしたらいいんだ、オレ・・・)」








水瀬のつらい過去、それは水瀬の運命を大きく狂わす、残酷な出来事だった・・・









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