パワプロについて
├パワプロとは何か?
├パワプロシリーズ検証
└登場人物紹介


掲示板
以下の掲示板は、左フレームのBBSのBBSメニューからもいけます。
パワプロ専用掲示板
連絡用掲示板


パワプロ小説
以下の小説は、左フレームのNOVELのメニューからもいけます。
果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第二話  天才との接触






遅刻寸前だった。
目覚めた時は午前7時20分。
急いで食堂まで行って、簡単にパンとクリームシチューを膳に載せる。
そして、急いで食べ、そばにあったファンタオレンジを一気に飲み干した。
そして、再び305号室へ戻って、急いで着替える。
ワックスやムースを付けて、髪を整えた後は、すぐに野球道具を詰め込んだバットケースを持って、寮を飛び出した。
グラウンドまでは、走って5分。
今の時間は50分。ぎりぎり間に合ったと考えていいだろう。
グラウンドでは、昨日はなした川口と若井、それにもう一人別の人物が立っていた。
体格からして、川崎選手ではない。
若井:「おっそいぜー、ルーキー君。5分前とはいい度胸じゃん?」
川口:「寝坊したのか?目覚ましはちゃんとセットしているんだろうなぁ?」
若井:「おれたち、同じ寮だけど6時には起きてタオルで投げ込みしてたからぁ。お前と違ってさ」
川口:「あぁ、紹介するよ。この人は仲嶋さん。おれたちの練習に付き合ってくれるんだと」
川口に紹介されて、仲嶋という男は一歩修吾の前に歩み寄り、手を差し伸べた。
仲嶋:「やぁ。仲嶋 元気だ。君より、1つ上だし、プロ野球のわからないことがあったら、オレでよかったら聞いてくれよ」
修吾は、言葉がなかった。目の前にいる仲嶋という選手は・・・
修吾:「仲嶋さんって、キラーズのセンターで、今シーズンに新人王、首位打者、ゴールデンクラブを受賞した人ですよね」
仲嶋:「え、知っていたの?嬉しいなぁ」
川口:「仲嶋さんとは、昨日寮であったんだ。それで、自主トレのことを話したら、快く引き受けてくれたんだ」
若井:「野手はお前だけだったじゃん、竹内ぃ。元気やんがいれば、2:2じゃん?」
若井は相変わらずマイペースだ。果たして、実力はどうなのであろうか。
仲嶋:「さて、始めようか?まずはランニングと行きますか」
修吾:「は、はい!」
修吾は、思わず返事をしていた。もうプロ野球選手と会話をした。プロの世界に立っている興奮が、収まりきらない。
仲嶋:「ランニングは、打者は下半身の強化、投手は、制球力やスタミナを付けるのにも適している」
川口:「なるほど。どれくらい走りこみますか?」
仲嶋:「そうだなぁ。後30分くらいは走りこもう。軽いウォーミングアップだ」
修吾:「げぇっ。俺の学校でも、30分は走りこまなかったなぁ」
仲嶋:「甘いよ。プロは集中力、技術力、精神力も大事だけど、それ以上に長時間のプレイを支える持久力も必要になってくるからね。新人キャンプは、走ってばかりだよ」
若井:「オレはぁ、走るの苦手なんだよぉ・・・」
仲嶋:「自分のペースでいいから。とにかく、30分は走るんだ!」
足が止まった若井に対して、仲嶋はそっと励ましをかけた。
修吾:「そろそろ、20分が立ちますね」
川口:「本当だ。走ることにだけ集中して、時間がたつのを忘れていた」
仲嶋:「君たち二人は、息が続くね。去年のオレは、15分もしたらバテてたよ」
修吾:「監督がうるさかったからですよ。不注意プレーがあると、試合中だろうとなんだろうと、いきなり走らせるのですから・・・」
仲嶋:「ははは。じゃ、修吾はいつも不注意プレーばかりしてたの?」
修吾:「そんなわけじゃありませんよ!いや、でも20回くらいは走らされたかも」
川口:「滅茶苦茶多いじゃん!!」
3人の会話のやり取りの後、30分はすぐに経過した。
仲嶋:「よーし。終わり。じゃ、各自練習に入ろうか」
隣の木の木陰では、若井がすでにバテて、川口に水を掛けられている。
修吾は、仲嶋からキャッチボールをやるといわれたので、バットケースからグローブを取り出した。
大型メーカーが作った、黒いグローブ。プロ入り祝いに、兄貴からプレゼントしてもらったものだった。
グローブの親指側には、筆記体で「Takeuchi」と書いてある。
仲嶋:「これくらい離れようか。ざっと40メーターはあるね」
仲嶋はそういうと、すたすたと足で距離を測り始めた。
仲嶋:「もうちょっと欲しい?」
修吾:「50メートルくらいは」
仲嶋:「肩に自信ある?」
修吾:「そこそこですけど・・・」
仲嶋:「壊しても知らないよ?」
仲嶋はそう忠告すると、ある程度後ろに下がって歩みをやめた。
仲嶋:「じゃ、いくよ・・・」
ひゅっっと、しなやかな腕のしなりから、空気を突き破るようにして、ボールが仲嶋の腕から放たれる。
吸い込まれるようにして、修吾のグローブに納まった。



次へ    果て無き夢へTOPへ