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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第十八話  第二のイクローになれ!







修吾:「ホームランだけが野球じゃない・・・、どういうことでしょうか、それは・・・」
修吾は戸惑っている。自分の考え、ホームランを打ち夢を与えることが野球の真骨頂と考えていた彼の思考を真っ向から否定するような言い方だ。
監督:「私は、ホームランを打ってはいけないと入っていない。だが、昨日の珂日のように、地味ながらもセーフティバントやエンドランを決めるなど、小技もまた野球」
石原は、仁王立ちして、修吾を見下ろす形になっている。そして、ちらりとグラウンドのほうを向くと、また修吾に向き直った。
監督:「キミは、イクローという日本人を知っているか?」
修吾:「一応・・・。名前だけは聞いたことがあります」
監督:「彼は、もともとはパワフルズの選手でな、本名は鈴村幾郎というのだが、彼はアメリカ、夢を追ってそこへ渡った」
石原は、イクローについて修吾にその詳細を語り始めた。



監督:「イクローにとって、そこで彼の力が通用するかは彼次第だった・・・・・・」






某年 2月 17日
ニューヨーク




??:「ここがアメリカ、野球生誕の地か・・・」
一人の青年が、真新しい球団のユニフォームを着て、ジャージを羽織っている。
彼が見つめているのは、「自由の女神」。彼女が持つ本には、アメリカの独立宣言が深い歴史とともに刻まれている。
そして、野球の歴史も、このアメリカという広大な大陸に刻まれている。
鈴村幾郎、28歳。新たなスタートを切った瞬間であった。




監督:「彼はアメリカに渡り、ニューヨークの球団でプレーをした」
修吾:「通用したんですか、彼は?」
監督:「まぁな。周りは、体格のいい外人ばかりだった」




その日、幾郎はロッカールームで黒人選手2人に野次られていた。
選手A:「ヘイ、ボーイ。YOUはどうしてホームランを打てないんだい?」
選手B:「お前だけだぜ、ホームランをかっ飛ばしていないのはよ!客足が減っちまうんだよ、バーカ!」
選手A:「ちょこまかとバントバント・・・。ジャパニーズサムライもそんなモンかよ。ハーッハハハ」



幾郎:「くっ・・・ニガー!」

幾郎は、2人の言葉に頭に血が上り、とっさに黒人差別の言葉を言ってしまった。もちろん、彼らが見逃すわけがない。
選手A:「なんだよ、お前!いい度胸してるじゃないか、ボーイ!面かせや!」
幾郎は、ロッカーに体を打ちつけられたかと想うと、何度もバットで腹、脚、胸、そして顔面を殴られた。リンチである。
抵抗できない幾郎は、最初は歯を食いしばって耐えていたが、奥歯が2,3本抜け落ち、腹をえぐる衝撃に耐えられず、その身を床に下ろした。
選手A:「バカが。テメェなんて、一生野球やるなよ、マイナーボーイ!」
選手B:「早くシングルAまで落ちちまいな、腰抜けサムライ!」
黒人選手2人は、幾郎に大量の唾を吐き捨ててロッカールームを去っていった。
幾郎:「くそぅ・・・。ドラックバントだって、立派な野球だ。お前らみたいに、ホームランが全てじゃないんだよ!」







修吾:「ひでぇ・・・」
監督:「お前よりも、もっとつらい経験をしているんだ、彼は。そして、何度も日本へ逃げ帰ろうとしたが、あるひとつの想いが彼をとどまらせた」
修吾:「なんすか、それは・・・」
一呼吸おいてから、石原は言った。
監督:「竹内・・・お前と同じ、野球から、子供たちに夢を与えようとしたからだよ・・・」
修吾は、黙っている。ただ、石原の話す、鈴村幾郎という人間の歴史に、そっと耳を傾けて、集中して聞き入っている。
監督:「幾郎は、必死に努力して、打率3割強を誇るリーディングヒッターになった。守備も冴えて、3年後には別のチームでワールドシリーズ優勝、MVP、コール伝グラブ賞、ベストナイン、首位打者を獲得している。彼もまた、努力の人だ・・・」
修吾:「監督。それで、俺の指導というのは・・・」
石原の話が一通り終わると、修吾は先ほどまで疑問に想っていたことを切り出した。
監督:「簡単だ。竹内、貴様にはこの2週間、当てる力、ミートする力を鍛えてもらう!」
修吾:「ぇ?」

監督:「お前は、第二のイクローになれる男だ、竹内!!」
石原の修吾にかける期待は、並半端なものではなかった。









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