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果て無き夢へ
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第十六話  珂日の想い、安の想い







彼には、何が間違っていたのかわからなかった。
たった一人のルーキーの言葉によって、珂日は変わってしまい、
自分は一人浮いてしまった・・・。


マシンから飛び出した150キロはゆうにあるストレートが無心の彼に襲い来る。
彼は、シャープなスイングで、その白球を高くはじき返した。
誰もいないはずの室内に、さびしい快音が響く。
安:「ちっ・・・」




その頃、修吾は寮に戻り、自分のグローブを磨いていた。
丹精をこめ、丁寧にゆっくりと、確実に磨き上げ、光沢を放つ彼のグローブ。
修吾は、そっとそれをベッドの小物置き場のところに置いた。
すると、自分の部屋をノックする音が聞こえる。寮の人間らしい。
修吾:「どちら様ですか?」
珂日:「ぉ、オレ・・・。珂日だけどさ・・・」
修吾は、一瞬顔を険しくしたが、すぐにドアへと向かい、鍵を解除した。
珂日:「・・・よぅ・・・」



メキッ・・・
安のバットが150キロのストレートに負け、軋む。
安はスイングをやめて、すぐに自分の手のひらをギュっと押した。
安:「これくらい・・・慣れてるサ」
??:「さぁて、どうだろうね・・・」
安が一人でいると、どこから知らぬが声が聞こえてきた。
その声の主は、こちらへと向かってくる。
安:「大西か・・・。オレに何のようだ。まさか、笑いに来たのカ?」
A組とB組・・・。組こそ違うが、彼らは主砲として通じ合うところがある。
安は、キラーズに来る前は韓国のチームの主砲、対する大西は、キラーズの4番だ。
大西は何もいわずにバットケースからグリップが赤く、それ以外の部分は黒い自分のバットを取り出すと、ゆっくりとマシンを動かしはじめた。そして、バッターボックスへと入る。
大西:「別に・・・。ただ、お前はお前の答えを見つければいいんじゃないのか?」
カキーンと、大西は130キロ台のカーブをセンター前に跳ね返す。
安は、呆然と見ているだけである。大西は続けた。
大西:「珂日の答えは、あのセーフティバントだ。今までの自分の行いを改めて、心を入れ替え、地道に一軍を狙おうという珂日の熱い姿勢だ。遊撃手のポジションは激戦区。小坂・新庄・珂日で争うわけだからね・・・。そこに正々堂々と挑みに言った珂日の姿には、敬服するぜ・・・」
内に食い込むシュートを、難なく引っ張る大西。安も、バットを変えて、150キロ台のストレートと勝負を始める。
安:「あいつは、珂日は竹内の言葉に踊らされただけダ」
大西:「違うだろ、お前も気づいているはずさ・・・」
そこから先、二人の会話はなかった・・・。




ところ変わって、修吾の部屋。
珂日は修吾の部屋に上がり、座布団に腰をゆだねていた。修吾は、コーヒーを淹れている。
修吾:「こんなもんしかないですけれど・・・」
珂日:「悪いな、突然あがりこんで」
ゆっくりと音をあまり立てないでコーヒーを喉の奥へと流し込む珂日。それを見て、修吾は切り出した。
修吾:「今日のアレ・・・。ホントすんませんでした」
修吾が、深々と頭を下げると、珂日はコーヒーを飲む手をやめて、カップを受け皿へと戻した。


珂日:「お前の行動は、正しかったと想うぜ・・・。だって、あの時お前がオレに掴みかかってなかったら、俺たちは多分、止まっていなかったと想う」
珂日は、ゆっくりとした口調で、頭を下げたままの修吾に語りかける。
珂日:「それに、お前の野球に真剣な姿を見ていたら、オレだって自然と、勝ちたい!って気持ちがまた芽生えてきたんだよ、バカみたいな話だけどさ」
修吾:「ぜんぜん、バカじゃないと想います」
珂日:「そうか?ふっ・・・」
珂日は言葉をそれ以上続けず、修吾の淹れたコーヒーの香りに酔っていた。









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