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果て無き夢へ
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第十一話  乱れた空気







久遠が投じたストレートが、確かに斉藤のバットの芯に当たった。






快音が、2月の空に心地よく響く。
白球は、ぐんぐんと空へ向かって伸びていった。
久遠:「ま、また?!」
久遠は、自信を持って投じたストレートをあんなに高いところまで飛ばされたことに、自信を失い始めた。
打球は失速しないで、伸びて伸びて・・・ついにはスタンドを越えてしまった。
完璧な場外ホームラン。
ベテランの一振りで、試合はA組が3−0とリードする形となった。
修吾:「(やっぱり、あの人はやつらの仲間じゃなかった)」
修吾は少し安心感に浸りながらホームを踏んだ。そして、遅れてやってきたバッターの斉藤を、グーで迎える。
修吾:「ナイスバッティングです、斉藤さん」
斉藤:「ありがとう、修吾君。次の回も気を引き締めていこう」
その後は、仲嶋が斉藤を迎える。
これで先発投手の高井は少し楽になったのだろう、次の回は3者凡退に打ちとって見せた。




だが、当の打線はどうだろうか・・・。
新庄は平凡なショートフライに倒れ、工藤はピッチャーゴロ。これはぼてぼてのあたりだった。
そして高井は、三球三振。まさにいいところなし。
守備でも、安や木村は、打球を取ろうともしない。,/br> そして、4回にことは起こった。







4回表。順調に打線を抑えていた高井だったが、先頭バッターの田上のあたりが、ショートの新庄の足を強打した。
これをカバーした修吾だが、田上はその間に全力疾走で1塁を駆け抜けた。どこにも投げられない。
また、新庄の足のほうも心配だった。
ジャストミートされたボールが低い弾道で彼の足をヒットしたのだ。打撃は相当のものである。
ここで、A組監督の猿鳶が動く。
猿鳶:「主審、守備の交代をお願いします。新庄に変わって、珂日」
そう呼ばれると、珂日はグローブをもってだらだらと守備位置まで歩いていった。
あまりスポーツマンシップをのっとっていない人間だ。
珂日:「ようやくお出ましってわけね・・・ふぁぁ、ねむっ」
守備位置に付くなり、いきなり大きなあくびを上げる珂日。その様子を、隣の修吾は見ていられなかった。
修吾:「(この人・・・。寮であったあの人か・・・)」






カキーン!
4番の大西の放った打球がセンターの仲嶋とライトの斉藤の中間あたりに深く落ち、フェンスまで転がっていった。
仲嶋がそれを追う。やはり守備範囲の広い男、ゴールデングラブ賞は伊達じゃない。
大西が1塁ベースを蹴ったところですでに川相に向け中継を行っている。並みの足ではない。
しかし、あらかじめスタートを切っていた田上はホームを踏む。3−1。B組のエンドランは成功したのだ。
高井:「ち、畜生・・・」
高井の額にも、冷や汗が吹き出てきた。すでに球数は60球を超えている。3回に、執拗に林に粘られたのが効いたようだ。








珂日:「あの様子だと、ピッチャー交代だな・・・クク・・・」


くすくすと腹を抱えて大笑いしそうな珂日に向かって、修吾は我を忘れて飛び掛っていた。








修吾:「あんた、いやあんたら・・・野球を何だと思ってるんだよ!!」
修吾の目は、怒りの炎に包まれていた。
こんな目をするのは、あれ以来だ・・・と、修吾は自分でもわかってる。

つかんだ胸座は、いまだに離れなかった。









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