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果て無き夢へ
果て無き夢へ登場人物


第十話  ベテランの胸中







斉藤 力。彼がバッターボックスに入ると、すさまじいオーラが、久遠を締め付ける。
久遠:「(斉藤さん・・・。代打の切り札1枚目。今日は本気だ・・・)」




なんとしても彼は1軍への切符をつかまなくてはならなかった。
そのためには、横暴なコーチのやり方にでもいやいやしたがって、反逆せずに試合で結果を残すのみだ。
斉藤は、長年の経験からそれをしっかりわきまえている。
斉藤:「さすがに、一軍半の生活はいやだからな」
斉藤は、肉体改造に成功したことでも有名だが、同時に多くの怪我も経験してきた。
このシーズン、また再び怪我をしてしまっては自分は解雇。そう考えた斉藤は、30代を過ぎると、栄養管理、体調管理に人一倍気を使うようになった。
全ては、日のあたる場所へ行くために・・・。,/br>








修吾は、左バッターボックスへ入った先輩バッターの気迫のオーラを、ふつふつと読み取っていた。
修吾:「なんだ、あの人は・・・(あいつらの仲間じゃないのか)」




ゆっくりとセットポジションから球を投げる久遠。
左打者にとっては、左対左。常識的に考えると不利とされている。
さらに久遠は、外へと逃げていくスライダーを投げた。
右打者に対しては、内角に食い込んでくる鋭い武器になるが、左打者にとっては、タイミングをはずしたり、その切れゆえに、ボールを一時的に消えたように見せることもできる、フィニッシュボールだ。
そのスライダーが、外角高めのコースに決まる。,/br> もちろん判定はストライク。だが、斉藤は冷静を通していた。








斉藤:「今のスライダー・・・(なるほど。さらに珠に磨きをかけている、か・・・)」




斉藤は、むしろこの若手たちの成長を楽しんでいた。
これはベテランとしてのひとつの楽しみでもある。スコアブックを見ながら試合を分析し、若手に指導する。
いつかは、自分をここまでのパワーヒッターに育ててくれたコーチに恩を感じている。
そして、自分が引退したときには、コーチに就任してくれと、3年契約を結んだ今季に首脳陣やオーナーから言われた。




斉藤:「だが、竹内君はカットしていた。若いのにできて、私にできるはずがない!」
斉藤はそう確信すると、松井秀喜のように、少しあごを震わせて構えた。




まるでバッティングスタンスのお手本のようなフォーム。
スタンダートのようではないが、背筋がびしっと曲げたひざからしっかりと垂直に伸びている。
また、神主の打法は、相手を威嚇すると同時に、投球間隔の間を計るのにバットを小刻みに揺らし、タイミングを計っている。
まさに、長年の経験が積んだ賜物だ。




斉藤:「さぁ、久遠君!来たまえ!勝負!!」
久遠:「(さっきの竹内とは違う面白さだ・・。)いわれなくても・・・」
セットの体勢から久遠が投げ、斉藤はスイングへ行った。

ブン!!
バットが空を切る。
斉藤は、空振りと同時に体制を崩し、地面にもたれかかった。
久遠:「フルスイング・・・!」
カウントはこれでツーストライク。
後がなくなったかに見えたが、斉藤はまだ勝負をあきらめてはいなかった。
斉藤:「なぁに。(後ワンスイングできるじゃないか!!)」
男はかけた。いつも同じようなものだ。
代打の切り札といわれ、早何年たつかわからないが、


斉藤:「オレは今まで、一打席一打席に全身全霊を込めてきた!!」









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