そして・・・今日の授業が終わり、放課後になって・・・・・・。
実は可憐、今日は・・・教室のお掃除当番になっていて・・・・・・、みんなとは少し時間が遅くなってしまったけど、
でも・・・ちゃんとみんなは校門のところで可憐のことを待っていてくれていました。
「ごめんなさい・・・みんな待った?」
「ううん、だいじょうぶ!・・・花穂もついさっき来たばっかりだから・・・えへへへ・・・・・・」
「ヒナも待ったのは、ほんのちょっとだけだよ〜!」
「姫はちょうどいい時間だったですの!」
「ボクも!」
衛ちゃんは、白雪ちゃんといっしょに来たことと・・・バレンタインデーのチョコレートについて考えていることを
可憐たちに話してくれました。
これでみんな・・・お兄ちゃんにあげるチョコレートのことで何かを感じているようでした。
その時、可憐はまだ・・・あと一人、そのことについて聞いていない子がいることに気がつきました!
「あっ!そういえば、亞里亞ちゃんがまだ・・・・・・」
可憐が思わず、そう呟くと・・・・・・。
「あのね、あのね!亞里亞ちゃんなら、もうじきここに来るよ!・・・お昼休みにね、ヒナね・・・亞里亞ちゃんの
お家にお電話したんだよ〜!」
「えっ!?本当に!?・・・ありがとう、雛子ちゃん!・・・・・・でも・・・亞里亞ちゃん自身は知ってるのかな・・・?」
雛子ちゃんの応えに・・・そう可憐が疑問を持つと・・・・・・。
「それならダイジョウブだよ!亞里亞ちゃんのお家の人が、亞里亞ちゃんが学校が終わったら、すぐにこっちに
来るようにしますって・・・言ってたよ!・・・クシシシ・・・・・・」
「あっ、そうだったの・・・。じゃあ、亞里亞ちゃん・・・もうそろそろ来るころかしら・・・?」
可憐と雛子ちゃんのやりとりを聞いていた衛ちゃんと花穂ちゃんは、校門の外に出て亞里亞ちゃんが来てるか
どうかを確認しに行ってくれました。
ところが、そんな可憐たちの後ろから・・・・・・。
「おや!?・・・みんなお揃いで・・・どうしたの?」
「えっ!!」
可憐たちが驚いて振り向くと、そこには可憐たちの大好きなお兄ちゃんが立っていました。
「お兄ちゃん!!」
「わ〜い!!おにいたまだ〜!!」
「あ〜ん、にいさま〜!!」
そんな可憐たちの様子を見て衛ちゃんたちも・・・・・・。
「あっ!!あにぃ!!」
「あ〜!!お兄ちゃまだ〜!!」
みんなお兄ちゃんの前に集まってきました。
お兄ちゃんは、そんな可憐たちに・・・・・・。
「もしかして・・・今日はこれから、みんなでどこかに遊びに行くのかな?」
と訊かれたけど・・・・・・。
「あのね、今日はお兄ちゃまの・・・グゥゥゥ・・・・・・」
「花穂ちゃん、ダメだよ!・・・それをあにぃの前で言っちゃ!!」
花穂ちゃんがもう少しでお兄ちゃんに今日のことを話しちゃうところだったけど、とっさに衛ちゃんが花穂ちゃんの
お口をふさいじゃったので、お兄ちゃんには何のことかは分からなかったようでした。
でも、そうこうしていると・・・・・・。
「あら!馬車の音がしてくるですの!」
という白雪ちゃんの声で、可憐たちはみんなで校門の外に出て様子を見てみました。
すると馬車がこちらに段々と近づいてくるのが見えたかと思うと、程なくして可憐たちがいる校門の前で
その馬車は止まりました。
馬車を走らせていた大人の女の人・・・亞里亞ちゃんのお屋敷で働いているメイドさん(亞里亞ちゃんや
みんなは“じいや”さんと呼んでいます)が、馬車の前座から降りてきて可憐たちに一礼をしたあとに・・・・・・、
馬車の客席のドアを開けると、亞里亞ちゃんが馬車から降りてきました。
亞里亞ちゃんは、まだ事情が分からないらしく、『今日は・・・何があるの・・・?』という感じで可憐たちのことを
見つめていましたが、お兄ちゃんの姿を見ると・・・・・・。
「あ〜・・・兄や〜〜」
亞里亞ちゃんはお兄ちゃんの前まで歩みを・・・しずしずと進めていきました。
そして、亞里亞ちゃんはお兄ちゃんに・・・・・・。
「兄や・・・兄やは・・・ショ」
「亞里亞さまーー!!」
事の様子を伺っていたじいやさんが機転を利かして亞里亞ちゃんを呼んでくれたので、お兄ちゃんには
可憐たちが集まっている理由を知られずに済むことができました。
そのあと、じいやさんは・・・・・・。
「ここで立ち話もどうかと思いますので、皆様・・・この馬車に乗っていただいて、亞里亞さまのお屋敷まで
来ていただくのはどうでしょうか?」
そのじいやさんの申し出を聞いた雛子ちゃんたちは・・・・・・。
「行く行く〜〜!!ヒナ、亞里亞ちゃんのお家に行きたい〜〜!!」
「あっ!花穂も行きたいー!!」
「じゃあ、ボクも!!」
「姫は・・・・・・可憐ちゃんはどうしますの?」
白雪ちゃんは可憐にどうするかを訊いてきましたが、亞里亞ちゃんのお家ならキッチンを借りられそうなので、
「可憐も行きます!」
と答えると、白雪ちゃんも可憐に倣って・・・・・・。
「それじゃあ、姫も・・・ごいっしょしますの!」
ということになって、みんな馬車に乗り始めましたが、可憐はお兄ちゃんの前に行って・・・・・・。
「お兄ちゃん・・・今日はごめんなさい」
「いや、いいんだよ・・・可憐ちゃん。今日はたまたま居合わせただけだから・・・・・・だから、また今度ね!」
「うん、お兄ちゃん。・・・また今度・・・ね☆」
そうして、馬車に乗った可憐たちは、お兄ちゃんがお外から手を振ってくれるのに応えながら、亞里亞ちゃんの
お屋敷へと向かうことになりました。

 しばらくして可憐たちは、お山の中の少し高いところに建っている亞里亞ちゃんのお屋敷の中へと入りました。
最初は可憐のお家でチョコレート作りをする予定になっていたけど、亞里亞ちゃんのお家は大きくてキッチンも
広いから、みんなで何かを作るのには向いているかもしれないって思いました。
それに、じいやさんからは・・・材料から道具まで必要なもののほとんどは揃っていて、ないものは用意してくれる
・・・ということでした。
亞里亞ちゃんには馬車の中で、今日のことと・・・そしてみんなが思い悩んでいることを説明したんだけど・・・・・・、
どうやら亞里亞ちゃんには・・・そんな悩みがない・・・・・・というより何かを分かっているのかもしれない・・・・・・
そんな感じが・・・可憐にはしました。
亞里亞ちゃんはいったんお部屋に戻ってからということになり、可憐たちはキッチンの側のお部屋に入って、
しばらく待つことにしました。
待つこと十数分・・・・・・亞里亞ちゃんがじいやさんといっしょに可憐たちのいるお部屋に入ってきました。
そこには両手で抱えきれないほどのチョコレートを持った亞里亞ちゃんの姿がありました。
「亞里亞さま・・・大丈夫ですか?・・・テーブルまではもうすぐですよ・・・・・・」
「・・・・・・亞里亞・・・がんばる・・・・・・兄やとみんなのため・・・だから・・・・・・」
雛子ちゃんたちは亞里亞ちゃんを手伝おうとしたけど、可憐と白雪ちゃんは亞里亞ちゃんの気持ちを察して、
亞里亞ちゃんのことを見守るように・・・って、雛子ちゃんたちに諭すことにしました。
無事テーブルまでチョコレートを運ぶことができた亞里亞ちゃんは、フゥっと呼吸を整えていて、その横にいた
じいやさんは・・・・・・。
「もう・・・亞里亞さまったら・・・ご自分で運ぶっていって聞かなかったんですよ!・・・フフ・・・・・・」
そう可憐たちに説明してくれました。
ようやく落ち着いた亞里亞ちゃんは・・・・・・。
「おいしいショコラ・・・みんなといっしょに・・・たくさん・・・食べたいな〜〜・・・って思ったの・・・・・・」
その亞里亞ちゃんの気持ちに・・・・・・可憐は・・・ううん、その場にいっしょにいた白雪ちゃんや衛ちゃん、
花穂ちゃん、雛子ちゃん・・・みんなが何かを感じたようでした・・・・・・・・・・・・。


  (第5話に続く)