次の日のこと・・・・・・。
可憐は学校の授業が終わってから、白雪ちゃんと広場の時計塔の前で待ち合わせをすることになっていました。
昨日の夜、可憐はチョコレートを作ってからのしばらくあとに・・・白雪ちゃんにお電話をしていました。
作ってみたチョコレートは、出来栄えはその・・・よかったと思うんだけど・・・・・・まだ何か足りないものが
あることに気付いて・・・・・・白雪ちゃんのほうはどうかな?・・・と思ってお電話をしてみました。
可憐が待ち合わせの場所まで来ると、そこにはすでに白雪ちゃんが来てくれていました。
「白雪ちゃん、お待たせ・・・・・・もしかして・・・待った?」
「ううん、姫もついさっき来たばっかりですの」
可憐と白雪ちゃんは、広場にあるベンチに座って、昨日のことをもう少し詳しくお話しすることにしました。
「可憐・・・今年は去年よりももっと良いものを、お兄ちゃんが喜んでくれるものを・・・と思って作っていたんだけど
・・・・・・何かまだ足りないものがあるような気がするの・・・・・・」
「姫も・・・もっと大きくてにいさまへの気持ちがいっぱいのものを・・・って思って作ってたのですけど・・・・・・
やっぱり何かもっと大事なことがあるような気がするですの・・・・・・」
可憐と白雪ちゃんは、お互いにその「何か」が何なのかを考えてみましたが、結局その場では答えが
見つかりませんでした。
そんな可憐たちの目の前を・・・偶然にも咲耶ちゃんが通り掛かりました。
咲耶ちゃんは可憐たちがベンチに座っているのに気付いたみたいです。
「あらっ!可憐ちゃんに白雪ちゃん!?こんなところで二人とも何してるの?」
可憐と白雪ちゃんはお互いに目を合わせて、咲耶ちゃんにさっきまで考えていたことを話してみることにしました。
「ねえ、咲耶ちゃん・・・あの・・・バレンタインのチョコレートは、もう作ってみた・・・?」
「えっ!?・・・え〜と、実はまだ・・・・・・これからお家に帰って始めるところなの!
そうだわっ!よかったら、二人ともこれから家に来ない?
できれば・・・いい先生がいてくれたほうがうまくできそうだし・・・それに鞠絵ちゃんたちも呼んでいるから、
にぎやかに楽しくチョコレート作りができそうだもの☆」
「あっ!姫は、賛成ですの!何かいいヒントが見つかるかもしれませんの!」
可憐も白雪ちゃんと同じ考えだったので、可憐たちはいっしょに咲耶ちゃんのお家へ行くことにしました

 咲耶ちゃんのお家に着くと、すでに鞠絵ちゃんと千影ちゃん、そして春歌ちゃんが玄関の前に佇んでいました。
「あっ!もう来てくれてたのね。すぐに開けるから待ってて!」
「わたくしたちも今しがた着いたばっかりですから、大丈夫ですよ」
「フフフ・・・・・・入ろうと思えば入れたのだけどね・・・・・・それでは咲耶ちゃんに悪いと思ったから・・・・・・」
「うふふふっ・・・千影ちゃんったら・・・・・・。あらっ!?可憐ちゃんと白雪ちゃんもお揃いなのですね!
また一段とにぎやかで楽しいチョコレート作りになりそうですわっ!!
「春歌ちゃん・・・・・・そうね・・・楽しく作りましょうね!」
「姫もお手伝いしますのっ!!」
そうして、可憐たちは咲耶ちゃんのお家の中へと入ることになりました。

 キッチンに入ると・・・テーブルの上には、昨日咲耶ちゃんがお買い物をしていたものがたくさん・・・所狭しと
並べられていました。
それを見たみんなは・・・・・・。
「ずいぶんいろいろと買われたのですね!?」
「ええ、あれもこれもと思っていたら・・・つい・・・ね!」
春歌ちゃんはいろいろな種類のチョコレートの型に興味があるみたいです☆
「ん・・・これは・・・兄くんが喜びそうなチョコレートだね・・・フフフ・・・・・・」
「あー!!千影ちゃん!!・・・それは・・・・・・」
咲耶ちゃん・・・もしかして可憐たちにはナイショで・・・でも・・・何のチョコレートなのかしら?・・・ウフフッ・・・・・・。
「あら?・・・こちらはとてもステキなリボンですね・・・・・・」
「そう!?・・・もちろん飾りつけも大事だもの・・・ね☆」
鞠絵ちゃんは、おリボンが気になっているのかな・・・?
みんな・・・しばらくは材料のことで話し合ったりしていたけれど・・・・・。
「咲耶ちゃん、じゃあ・・・そろそろ始めますの!」
その白雪ちゃんの一言で、ようやくチョコレート作りに取り掛かることになりました!
最初は可憐と白雪ちゃんとでチョコレートの下ごしらえをするところから始めました。
その様子を見ていた咲耶ちゃんたちは・・・・・・。
「なるほどね!・・・昨日は簡単に作り方を教えてもらっていたけど・・・・・・、実際に作っているところを見ていると
思っていた以上に違うものなのね・・・・・・」
「ええ!チョコレートをあんなに細かくしないといけないなんて知りませんでした・・・・・・」
「そうですのよ、鞠絵ちゃん!・・・チョコレートをまんべんなく綺麗に溶かすには、とっても大事なことですの☆」
「ん・・・それにしても・・・このチョコレートの切片は・・・芸術的な薄さだね・・・・・・まるであちらの世界が・・・
見えてくるようだよ・・・フフフ・・・・・・」
ウフフッ・・・・・・千影ちゃんって・・・いっつもフシギ☆
そのあとはチョコレートを溶かして型に流すまでを、みんなの前でやってみることにしました。
それを見て・・・次は咲耶ちゃんたちが交代でチョコレート作りに取り掛かり、可憐と白雪ちゃんが見守る中・・・・・・
次々と形を変えたチョコレートが出来上がっていきました☆
そして・・・・・・。
「これからは飾りつけなのですね・・・ワタクシは兄君さまへの想いを・・・ポポポッ・・・・・・」
「兄上様へのお言葉は何にしましょう・・・・・」
「兄くんには・・・いい夢が見られるように・・・するとしようか・・・フフフ・・・・・・」
「私は、お兄様へのラブでいっぱいにするんだからっ!!」
もう・・・みんな、お兄ちゃんのことで頭がいっぱいみたい・・・・・☆
そうしてチョコレートの上にメッセージを書いたり、トッピングをしたりと・・・・・・それはもう本当ににぎやかで楽しい
ひとときでした。
出来上がったチョコレートを・・・みんなしばらくは黙って見ていたので、満足しているのかな〜と思っていたけれど
・・・・・・、咲耶ちゃんたちから次の言葉がなかなか出てこなかったので、可憐は聞いてみることにしました
「みんな・・・自分で作ってみたチョコレートはどう?」
すると・・・・・・。
「私は・・・お兄様へのラブだけで本当にいいのかしら・・・・・・?」
「兄くんには・・・もっと何かを見せてあげたいような気がする・・・・・・」
「わたくしは・・・兄上様にお伝えしたいことが・・・まだ何か・・・・・・」
「兄君さまへの想いは・・・いっぱいになっている・・・はずなのですが・・・・・・」
みんなのその言葉を聞いた白雪ちゃんは、可憐の目を一瞬確かめるようにして見てから・・・・・・
こう言いました。
「やっぱり・・・みんなも同じ・・・なんですの・・・ね・・・・・・」
可憐は、みんなで楽しくチョコレートを作っている時に・・・その何かが少し見えたような気がしましたが・・・・・・
この時はまだ・・・よくわかりませんでした・・・・・・・・・・・・。


  (第3話に続く)