船から降りた可憐と雛子ちゃんは、先に学校へ行って入学手続きを済ませる予定になっています。
それというのも、可憐は・・・外国から戻ってきたということと音楽推薦のこともあって、手続きが他の人たちよりも
多いみたいです。
だから、今日、島に着いたらすぐに学校に来るようにと言われていました。
でも、咲耶ちゃんと花穂ちゃんは先に不動産屋さんに寄ってお家の方に行くということなので、ここで一旦お別れ
することになりました。
「な〜に!同じ学校なんだから、またきっと、どこかで会えるわよ!」
「うふふふ。・・・そうですね」
「うん!大丈夫。きっと会えるよ!」
「咲耶ちゃん、花穂ちゃん、ばいば〜い!」
みんなお互いにさよならをして、それぞれの次の場所に向かうことにしました。

 学校に着いた可憐たちは入学手続きを済ませることにしました。
可憐と雛子ちゃんはもちろん学年が違うから、少し時間が掛かってしまったけど・・・・・・。
可憐たちは、そのあとに音楽室に行くことにしました。
先生からのお話では、可憐の場合は音楽の特待生ということで、空いているときなら音楽室のピアノを自由に
使ってもいいと聞いたからなんです。
音楽室に入ってピアノの前に座ると・・・可憐、どうしてもピアノを弾きたくなって・・・・・・・。
雛子ちゃんには近くの席に座ってもらって、可憐はピアノを弾き始めました。
これから会えるお兄ちゃんのことを想いながら・・・・・・♪♪♪♪♪・・♪♪♪♪・・・・・・。
しばらくしてピアノを弾き終えると、少し気持ちを落ち着かせることができました。
雛子ちゃんは・・・・・・。
いつのまにか、眠っちゃってたみたい・・・うふふっ・・・。

 そのあと・・・、可憐たちは新しいお家の鍵をもらいに、予め聞いていた不動産屋さんに行くことにしました。
そこで可憐は早速、お兄ちゃんがもう来ているかどうかを不動産屋さんに聞いてみました。
でも・・・、お兄ちゃんはまだ着いていなくて・・・・・・、予定では明日の午前中くらいになるということでした。
けれども、そのあとに可憐たちはビックリすることを聞いてしまいました。
今から2〜3時間ほど前に同じ家の鍵をもらいに2人の女の子が来たそうです。
しかも・・・、可憐たちとは姉妹だということも・・・・・・。

 可憐と雛子ちゃんは、新しいお家・・・名前は「ウェルカムハウス」、その北のはなれの前までやってきました。
もう中には、きっとまだ・・・可憐たちが会ったことのないお姉ちゃんや妹がいるんだって思うと・・・、
少しドキドキしてきました。
そして、勇気を振り絞って・・・・・・、可憐はお家の扉を恐る恐るノックしてみました。
するとしばらくして・・・、中からこちらに向かって走ってくる音がしたかと思うと、扉が勢いよく開かれて・・・・・・。
1人の女の子に可憐は・・・思いっきり抱きつかれてしまいました。
「あ〜ん!お兄様〜!!会いたかったわーー!!・・・予定よりずいぶん早く・・・って、あれ?・・・・・・・・・」
少しして、可憐から身を離したその女の子は・・・ついさっき、この島に来る途中で出会った咲耶ちゃんでした。
「さ、咲耶ちゃん?!」
「か、可憐ちゃん?!・・・・・・でも、どうしてここに?」
可憐は、咲耶ちゃんに不動産屋さんから聞いたことをお話ししました。
「ということは、私たちは姉妹ってことになるのよね!初めて会ったときは、不思議と他人のような気がしなかった
から、まさかとは思っていたけど・・・、本当に姉妹だったなんて驚いたわ〜!!」
「はい、可憐も驚いちゃいました」
「うん!ヒナも、ビックリしちゃった〜!!」
そこにあとから花穂ちゃんもやってきました。
「あれ〜?!可憐ちゃんに雛子ちゃん!!花穂たちのお家がよく分かったね〜♪」
今度は咲耶ちゃんが花穂ちゃんに可憐たちのことを説明してくれました。
「それじゃあ、可憐ちゃんは・・・花穂のお姉ちゃんになるんだ〜!」
「うん、花穂ちゃん。まだ頼りないお姉ちゃんかもしれないけど、よろしくね!」
「ううん。そんなことないよ〜!可憐ちゃん、なんでも出来そうだもん!!
花穂のほうこそ、よろしくお願いします!」
「あ〜!!ヒナも、ヒナもよろしくなの〜〜!!」
「雛子ちゃん、花穂・・・ドジなお姉ちゃんかもしれないけど、よろしくね〜♪」
そうして、みんな一通り改めて挨拶を済ませたあとは、お家の中に入ることにしました。

 まず咲耶ちゃんたちの案内で一番最初に入ったお部屋は吹き抜けのリビングでした。
ここでみんな揃ってお食事をとることになるみたいです。
そのあとに、みんなのお部屋を廻ることになったんだけど・・・・・・。
なぜか咲耶ちゃんが来たときには、もうみんなのお部屋が決まっていて、荷物もすでに運びこまれてあった
そうです。
可憐のお部屋は・・・お兄ちゃんのすぐ隣みたいで・・・可憐、とってもうれしいです!!
雛子ちゃんのお部屋は、お兄ちゃんのお部屋とは反対側の可憐のすぐ隣でした。
可憐たちは簡単に荷物の整理を済ませたあとは、キッチンの方に行くことにしました。
実は少し困ったことに・・・・・・可憐たちみんな、そんなにお料理は得意なほうじゃないんです。
でも、今日からは自分たちでご飯の支度をしなくちゃいけないし、・・・それに明日からはお兄ちゃんの分も・・・♪
しばらく考え込んでいると・・・・・・。
「あまり考えこんでいても仕方ないから、みんなでお買い物に行きましょう!」
と咲耶ちゃんが言ったので、みんなでお買い物に出かけることにしました。

 まだこの島に来て間もない可憐たちは、どこでお買い物をすればいいかまだよく分からなかったので、
ウェルカムハウスに来る途中で見つけたスーパーマーケットでお買い物をすることにしました。
でも、メニューがなかなか浮かばないので、可憐はすぐ側にいた花穂ちゃんに聞いてみることにしました。
「ねえ、花穂ちゃん。今日の晩ご飯は何が食べたい?」
「えっ?!えっとね〜・・・う〜ん・・・・・・。花穂、オムライスが食べたいな〜♪」
「オ、オムライス?!・・・可憐、作れるかちょっと自信ないかも・・・・・・」
可憐が少し困っていると・・・・・・。
「ねえ!今日はパスタにしない?今ちょうどこのお店でフェアをやっていて、ずいぶんとお買い得みたいよ!」
と、咲耶ちゃんが言ってくれたんだけど、
「ふえ〜ん!花穂・・・花穂ね、・・・・・・麺類食べるの苦手なのー!」
って、花穂ちゃんが涙ぐんじゃって・・・・・・。
でも・・・咲耶ちゃんは、そんな花穂ちゃんに・・・・・・。
「もう・・・花穂ちゃん!そんなこと言ってると、お兄様に嫌われちゃうかもよ!」
「ええー!!そんな〜・・・・・・。花穂、お兄ちゃまに嫌われたくないよー!!うわぁーん・・・・・・」
お店の中で泣き出しちゃった花穂ちゃんを、どうしても放っておけなくて・・・可憐は・・・・・・。
「大丈夫よ!花穂ちゃん!あとで上手に食べられる方法を、可憐が教えてあげるから、もう泣かないで・・・・・・」
それを聞いた花穂ちゃんは、しばらくすると泣き止んでくれました。
「本当に?本当に・・・花穂でも上手に食べれるようになるの・・・?」
「うん。花穂ちゃん、頑張ればできる子なんだから、大丈夫!可憐が保証してあげる!」
そのあと、ようやく花穂ちゃんのお顔に笑顔が戻ってきました。
咲耶ちゃん・・・さっきは少し言い過ぎたって、花穂ちゃんに謝ってたし・・・またみんなで仲良くお買い物を続ける
ことにしました。
あとは、パスタのソースに・・・つけ合わせ用の卵とお野菜、あとは明日のお昼の分までのお食事の材料まで買い
揃えたりして、お買い物かごの中はいつのまにかいっぱいになっていました。
中には、花穂ちゃんと雛子ちゃんが食べたいお菓子もいつのまにか、たくさん入っていました・・・・・・うふふっ。

 晩ご飯の支度もお食事も無事済んで、今はみんなで買ってきたお菓子でお茶をしています。
花穂ちゃん・・・お食事のとき、最初はパスタを食べづらそうにしていたんだけど・・・・・・、
可憐がパスタを食べるときのフォークの使い方を教えてあげると、そのあとはうまく食べられるようになって、
そのあとは花穂ちゃん、とっても喜んで食べてくれていました。
可憐の横では、花穂ちゃんと雛子ちゃんが仲良くお菓子を食べながら、おしゃべりを楽しんでいるみたいです。
でも、可憐の隣に座っていた咲耶ちゃんは何か考えごとをしているみたいで、しばらくは黙ったままでした。
そんな咲耶ちゃんに可憐が話し掛けようとすると、急に咲耶ちゃんが立ち上がって・・・・・・。
「ねえ!みんな!明日、お兄様がこの家に来る途中で、みんながお兄様に出会っても、このお家に入るまでは
初対面を演出することにしましょう!お家に入ったところで、お兄様をビックリさせるの!いい考えでしょう!!」
咲耶ちゃんのその言葉を聞いた可憐たちは、
「ええっ!でも・・・お兄ちゃん、困ったりしないかな〜?」
「わ〜!きっと・・・お兄ちゃま、ビックリしちゃうよね〜!!」
「くしししし・・・。おにいたまには・・・ナイショのしみつだね〜!」
と、意見が少し分かれちゃったけど、そのまま咲耶ちゃんの言うことを聞くことにしました。

 そのあとは、みんなでお風呂に入ることにしました。
雛子ちゃんや花穂ちゃんは、大きなお風呂で遊べてとても楽しそうでした。
可憐は、外国で長い間暮らしていたから、こういうお風呂は久しぶりで少し戸惑ったけど、みんなで入っていると
そんな不安な気持ちはどこかに飛んでいっちゃいました。

 お風呂から出たあとは、みんな自分のお部屋に戻って寝ることにしました。
明日はついにお兄ちゃんと会える日・・・・・・。
今夜は明日に備えて、ぐっすり寝ておかなくっちゃって思うのだけれど・・・・・・。
でも、いよいよ明日、お兄ちゃんに会えると思うと、ドキドキしてきて・・・なかなか眠れそうにありません。
お兄ちゃん、待っててくださいね!
明日は可憐がお兄ちゃんのお迎えに行きますから・・・・・・・・・・・・。


 (後編に続く)