翌朝、起きて朝ご飯を済ませた可憐たちは、お食事中に咲耶ちゃんの呼び掛けがあって、そのままみんな
リビングに残っていました。
「ねえ、咲耶ちゃん?何か可憐たちにお話があるの?」
と、可憐は咲耶ちゃんに聞いてみることにしました。
「うん、実はね・・・・・・。今日は、ついにお兄様がこの家に来るわけなんだけど、いったい誰が最初に船着場まで
行ってお兄様の様子を見に行ってくるか決めたいのよ!みんなで行きたいのは、やまやまだけど、お兄様に変に
気付かれたくないし・・・・・・だから、ここは公平にくじ引きで誰が行くかを決めたいのよ!」
「ええ〜!?そんな〜!!花穂〜・・・、お兄ちゃまに早く会いたいよ〜!!」
「う〜ん〜・・・ヒナだって、おにいたまのところにピューって飛んでいきたいのに〜!!」
花穂ちゃんと雛子ちゃん・・・やっぱりそうよね・・・可憐だって、お兄ちゃんに早く会いたいし・・・・・・。
でも、咲耶ちゃんの言うことも、少しは分かるような気もしたので・・・・・・。
「花穂ちゃん、雛子ちゃん。ここは咲耶ちゃんの言うとおりにしましょう!可憐だって、早くお兄ちゃんに会いたい
けど・・・昨日の夜、みんなで決めたことだし・・・ね!」
そう・・・花穂ちゃんと雛子ちゃんに話しかけると、ふたりとも何とか納得してくれたみたいです。
「それじゃあ〜・・・、くじ引きをするわよ!この4本の紙のうち1本だけ赤い記しが付いているから、それを引いた
人が一番先にお兄様の様子を見に行くのよ!」
咲耶ちゃんがそう言うと、みんな思い思いに咲耶ちゃんが手に握っている紙の切れ端に手をかけました。
そして・・・可憐は、目をつぶってお祈りをしました。
『神様、お願いします。どうか、可憐がお兄ちゃんと早く会えますように・・・・・・』
しばらくして、咲耶ちゃんの掛け声を聞いたけど・・・、可憐はすぐに目を開けられませんでした。
だって・・・、何だかこわくて・・・・・・・・・。
すると、みんなのため息が聞こえてきて、そのあとに咲耶ちゃんの声がしました。
「可憐ちゃん、いつまで目をつぶってるの?」
「えっ?!」
可憐が目を開けると、そこには赤い記しの付いた紙が可憐の手に握られていました。
「可憐ちゃん、お兄様のこと・・・しっかり見てきてね!」
「はい。可憐、がんばってお兄ちゃんのこと・・・しっかり見てきます!」
そう言って、その後しばらくして・・・可憐はお家を出て船着場に向かうことにしました。
可憐が出ていこうとしたとき、花穂ちゃんと雛子ちゃんもいっしょに行きたい!!って言ってたけど、
咲耶ちゃんが一生懸命ふたりをなだめてくれていました。

 船着場に着いた可憐は、ここからどうしようか迷っていました。
ここで待っていると、お兄ちゃんが来ちゃうとすぐ見つかっちゃうし・・・・・・。
だから、可憐は少し離れた高台の木の陰に隠れて、お兄ちゃんが来るのを待つことにしました。
そうしてしばらく待っていると、一隻の船がこの島の船着場に向かって来ているのが見えました。
だんだん近づいてきているのだけど、まだよく見えなくて、誰が乗っているのかはまだ分かりません。
でも・・・なんとなくだけど、お兄ちゃんがその船に乗っているような気がするんです。
・・・・・・ようやく、船が船着場に着くと・・・、まず男の人と女の人が1人づつ船から降りるのが見えました。
そのあとに、眼鏡をかけてカメラを手にしている男の人が、船から降りようとしていました。
そのとき、可憐には・・・その男の人が可憐のお兄ちゃんだっ!って、不思議とすぐに分かってしまいました。
でも、お兄ちゃんは・・・船から降りる際中に海の中に落ちちゃって・・・・・・。
大変!!と思ったその時、可憐のすぐそばにクレーンに繋げられたボートがあったので、近くでお仕事をしていた
男の人に、可憐をボートに乗せてもらって、そのままお兄ちゃんのところまでボートを動かしてもらえるように
お願いしました。
その男の人は一つ返事で可憐のお願いを聞いてくれて、可憐はボートに乗ってお兄ちゃんのところへ向かうこと
になりました。
可憐は、お空に浮いたボートがお兄ちゃんの真上に差し掛かったとき、可憐はお兄ちゃんに向かって思わず、
「お兄ちゃん・・・・・・」
と呼び掛けてしまいました。
そして、可憐がお兄ちゃんを助けようとして、お兄ちゃんの腕を掴むと、急に周りが何か温かいものに包まれた
ような・・・そんな感じがしました。
そのあと、可憐はお兄ちゃんに持っていたカメラをお返ししました。
そうしたら、お兄ちゃん・・・可憐のことを急にその・・・撮っちゃって・・・・・・・。
可憐・・・変な顔で写ってないか気になっちゃって、お兄ちゃんに聞いてみたんだけど、はっきりとお返事が
返って来なくて・・・・・・。
やっぱり、変なお顔だったのかな?って、とっても気になっちゃいました・・・・・・。
お兄ちゃんを何とか助けることができた可憐は、すっかり海の水で濡れてしまったお兄ちゃんのお顔を、
持っていたハンカチで拭いてあげることにしました。
お兄ちゃんには、後で返してくださればいいですって答えたんだけど・・・・・・。
だって・・・、お兄ちゃんとはこれからお家でいくらでも会えるから・・・ね!・・・うふふふっ・・・。

 そして、可憐はお家に戻ってきて、みんなにお兄ちゃんのことをお話ししました。
可憐がお兄ちゃんのことを助けたり、お兄ちゃんとお話ししたことを話すと、咲耶ちゃんは、
「可憐ちゃんって、意外と侮れないというか大胆なのね!」
って、言われちゃいました。
「あっ!咲耶ちゃん!!可憐のこと・・・そういうふうに見てたんですね?!」
そう、思わず・・・可憐は咲耶ちゃんに聞いてしまいました。
「可憐ちゃんは、私のいいライバルになりそうね!今から楽しみだわ!!」
咲耶ちゃんは軽く笑いながら、可憐にはよく分からないライバル宣言をされてしまいました。
もしかしたら・・・これからの可憐たちのお兄ちゃんとの生活は、ちょっとドキドキしたものになっちゃいそうです!

 可憐からお兄ちゃんの特徴を聞いたみんなは、それぞれ次の準備のために出かけることにしました。
咲耶ちゃんは、お兄ちゃんが海に落ちてすっかり服が濡れてしまったことから、きっと新しい服を買いに行く
でしょうということになって、早速お洋服屋さんに行くことになりました。
花穂ちゃんは、お兄ちゃんにお花のプレゼントをしたいからということになって、お花屋さんに行くことに
なりました。
そして、可憐たちもお兄ちゃんに何かプレゼントをしたいと思ったので、雛子ちゃんといっしょにお出かけを
することになりました。

 しばらく街の中のお店を見て回っていた可憐と雛子ちゃんは、偶然にもお兄ちゃんの姿を見つけて
しまいました。
「ねえねえ、可憐ちゃん。もしかして・・・あの人が、おにいたま?」
「ええ!そうよ、雛子ちゃん。あの人が可憐たちのお兄ちゃんよ!」
うふふっ・・・雛子ちゃんも、やっぱりお兄ちゃんのことは分かるのね♪
そのあとは、少しお兄ちゃんの様子を見ていたんだけど、
急に・・・お兄ちゃん、腕にはめていた腕時計を放り投げてしまって、そのままどこかに走っていっちゃいました。
それを見た雛子ちゃん、
「ヒナ、拾ってくる!」
と言って駆け出して行きました。
お兄ちゃんの腕時計を拾って可憐のところに帰ってきた雛子ちゃんは、
「はい、可憐ちゃん。おにいたまの腕時計だよ!」
そう言って可憐にその腕時計を手渡してくれました。
「ありがとう、雛子ちゃん。・・・・・・でも、この腕時計・・・・・・何だか・・・壊れているみたい?」
「ええ〜?!そうなの〜?・・・だから、おにいたま・・・腕時計をポイ!しちゃったのかな〜?」
このあとは、どうしようか迷っていた可憐たちだったけど・・・・・・。
一度お家に戻って、雛子ちゃんにはそのままお留守番をしてもらうことにしました。

 そして・・・そのあと、可憐は学校の音楽室に行ってピアノを弾くことにしました。
お兄ちゃんへのプレゼントを何にするか、まだ決められなくて・・・、気持ちを落ち着けたくて・・・・・・♪〜♪〜・・・
しばらくピアノを弾いて、気持ちが軽やかになってきた頃・・・、急に音楽室のドアが、バタンッ!!と開いて、
そこにはビックリしているお兄ちゃんが立っていました。
お兄ちゃん、お着替えを済ませて・・・、その・・・とてもかっこよくて・・・お洋服似合っていました!
そこで、可憐・・・ふっと思いつきました。
可憐たちのお兄ちゃんへのプレゼントは、やっぱり新しい腕時計にしようって!
そして・・・そして、お兄ちゃんといっしょにプレゼントのお買い物をしようって!!
だから・・・可憐、お兄ちゃんに思い切って、いっしょにお付き合いしてくれませんか?ってお願いしてみました。
そうしたら、お兄ちゃん・・・ものすごくお顔が熱くなっちゃって・・・うふふふっ・・・。

 お兄ちゃんといっしょに時計屋さんまでやってきた可憐は、どの腕時計がいいかお兄ちゃんに聞いてみました。
でも、まだお兄ちゃんへのプレゼントだと気づかれないようにするのに、ちょっとドキドキしちゃいました。
その時は・・・お兄ちゃん、自分へのプレゼントじゃないと分かって、ガッカリしてたみたいだけど、もしかしたら・・・
可憐からのプレゼントを期待しててくれたのかな・・・?
でも・・・・ゴメンナサイ、お兄ちゃん。
お兄ちゃんがお家に着くまでは、まだ内緒だから・・・・・・。
それから・・・お会計を済ませてお店を出ようとすると、雛子ちゃんがお店の前にいたので、可憐・・・とっても
ビックリしちゃいました。
まだ、お兄ちゃんには可憐と雛子ちゃんが姉妹であることをお話しすることが出来なかったので、お兄ちゃんには
お知り合いの女の子ということにしておきました。
お兄ちゃん、ちょっと・・・うそをついちゃって、ゴメンナサイ・・・・・・。

 そのあとは、先に雛子ちゃんといっしょにお家に帰ることにしました。
本当は・・・お兄ちゃんともいっしょに帰りたかったんだけど・・・・・・、でも、あと・・・もう少しのガマンです。
帰り道は、今日学校でまたお兄ちゃんと会ったことを雛子ちゃんにお話ししながら歩いていました。
あとは・・・今日の晩ご飯は何かな?とかね・・・うふふふっ・・・。
今日のお買い物は、咲耶ちゃんたちにお願いしてあるから、帰ったら早速お夕食とお兄ちゃんの歓迎準備を
することになっています。

 お家に着いた可憐たちは、すぐにお兄ちゃんのお部屋に集まってお兄ちゃんが来るのを待つことにしました。
しばらくすると、お家の玄関の扉が開く音がしました。
きっと・・・お兄ちゃんです!可憐たちはみんな・・・もうドキドキしています!!
・・・そして、しばらくすると、今度はお部屋のドアが開いて、可憐たちは・・・お兄ちゃんへの歓迎の気持ちと
改めて兄妹として出会えたうれしい気持ちをも込めて、クラッカーを鳴らしました。
・・・・・・お兄ちゃん、とってもビックリしてたみたいです。
だって、可憐たちがお兄ちゃんの妹だってこと・・・お兄ちゃんは今まで気づいてなかったみたいだし・・・。
咲耶ちゃんの計画は、もしかしたら・・・うまくいったのかな?・・・なんて・・・えへへへ・・・。
でも・・・今まで可憐たちがお兄ちゃんの妹だっていうことを隠していて・・・ごめんなさい、お兄ちゃん・・・・・・。

 そして、お夕食の準備を済ませた可憐たちは、リビングでお兄ちゃんといっしょにお食事をとることにしました。
今日のお夕食はカレーライス・・・可憐たちが、今一番出来そうなお料理だから、これならお兄ちゃんにも満足して
もらえそうかな?
そして・・・可憐は、今日時計屋さんで買った腕時計を、改めてお兄ちゃんにプレゼントすることにしました。
これからは・・・ずっと、可憐たちと仲良くいっしょにいてくださいの気持ちを込めて・・・・・・・・・・・・。


 (おしまい)
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(あとがき)いかがだったでしょうか?予想していたよりもお話が随分と長くなってしまいました。当初は可憐と
      お兄ちゃんの出会いのみを書こうかと思っていたのですが、やはり妹たち(第1話での)4人姉妹の
      それぞれの出会いや関係についても表したかったので、このようになってしまいました。しかも、プ
      ロローグ編にも関わらず、おもいっきり第1話に引っかかっています(苦笑)。本当は、可憐とお兄
      ちゃんが出会う寸前でお話を“おしまい”にしようかと考えていたのですが、それだとあまりにも自分
      自身、何か物足りないと感じましたので、かなり延長してしまいました(汗)。
      それから、(まえがき)でも少し触れていますが、今回のSSはアニメ版の公式設定を与えるものでも、
      与えられたものでもありませんので、誤解なきようお願いします。あくまでも、もしかしたら・・・・・・
      こういうお話しが裏にあったのではないかな〜?という独自解釈のもとで考えて書いた次第です。
      ちなみに文体が、心なしか原作とアニメが混ざっているような気もしますが、そこは見逃してください。
      たぶん、視点が可憐ちゃんになっているから・・・かもしれないです(謎&笑)。
      それでは、またいつかアニメ版設定で何か書くもしれません。(アニメ第2弾も決定しましたからね!)
      では、次回のお話をお楽しみに〜♪