雛子ちゃんのお家を出発した可憐と雛子ちゃんは、電車を乗り継いでやってきた海辺の小さな駅で電車を
降りました。
海風の心地よい春の風にふっと心が和らいできました。
「わ〜〜い!!海、海〜〜♪♪わー!かもめさんだぁ〜!!」
雛子ちゃん、海がすぐ近くでご機嫌みたい♪
ええっと・・・ここからは確かバスに乗るんだけど・・・・・・。
あっ!あそこにあるバス停で待っていればいいみたいです。
ちょうど今の電車で降りた人も同じバスを待っているみたいだけど・・・・・・。
可憐と同じくらいか少し年上と年下の女の子が、2人いるのが見えます。
バス停に向かって歩いていくと、ちょうどバスが来たので、そのまま乗ることにしました。
バスの中では先に乗った女の子2人は、仲良く2人掛けの席に並んで座っていました。
きっと、お友達どうしか・・・それとも可憐と雛子ちゃんのように姉妹なのかもしれません。
可憐と雛子ちゃんはその女の子たちのすぐ後ろの席に座ることにしました。
だって・・・その時は、その女の子たちが可憐たちとなんだか同じような気がして・・・・・・。
それに、フシギな親近感を覚えたりもしたので・・・・・・自然と可憐の足が向いてしまったんです。
そして、バスが走り出した直後・・・・・・。
「あーー!!」
「きゃあっ!!」
急に可憐の目の前に少し大きめのバッグが降ってきました!!
でも、すんでのところで前の席の少しお姉さんっぽい人が、身を乗り出してその落ちてきたバッグを掴んで
くれていました。
「ご、ごめんなさい。大丈夫?」
「は、はい。・・・・・・だ、大丈夫・・・です」
可憐は突然のことにビックリして、そう答えるのがやっとでした
「ねえ、ねえ、可憐ちゃん。だいじょうぶ?えへへ、ヒナも・・・ちょっとビックリしちゃったぁ〜!」
「ご、ごめんね、雛子ちゃん。もう大丈夫よ」
雛子ちゃんにそう言って、前の方を振り向くと・・・・・・。
「花穂ちゃん。もうっ!・・・言ってくれれば、私が網棚に荷物を載せてあげたのに!」
「ふえ〜ん、咲耶ちゃん〜、ごめんなさ〜い・・・。花穂だと・・・少し背が届かなかったみたい・・・ぐっすん」
今のことから、少し年上の・・・可憐よりも背が高くて長い髪の毛を左右に分けてツインテールにしている
女の子が咲耶ちゃん。
そして、少し年下の・・・可憐よりちょっと小柄で髪がおかっぱでヘアバンドをしている女の子が花穂ちゃん・・・
のようです。
それから、バスの中ではそれ以上はお互いにお話しすることはなく、しばらくして可憐たちが降りる予定の
バス停が近づいてきました。
「雛子ちゃん、次のバス停で降りるけど、いい?」
「うん!ヒナ、いつでもいいよ!」
すると、前の女の子たちも・・・・・・。
「花穂ちゃん、次のバス停で降りるわよ!」
「えぇ!そうなのっ?わっ!はやくおカバンを降ろさなくっちゃっ!!」
「あー!私が降ろすから!花穂ちゃんはいいから、まだ座ってて!」
「ご、ごめんね。・・・咲耶ちゃん」
そうして、バスが停留所に止まると・・・。
「さあ、降りるわよ!花穂ちゃん」
「うん!」
続いて可憐たちも・・・。
「雛子ちゃん、じゃあ降りるから、あとについて来て」
「はいはい、は〜い!!」
可憐たちみんながバス停を降りると・・・・・・。
「あらっ!あなたたちも同じなの?・・・奇遇ね!」
と、咲耶ちゃんが可憐たちに話しかけてきてくれました。
「はい、本当にそうですね♪」
「くししし・・・うんうん、いっしょ!いっしょ!!」
これから可憐と雛子ちゃんは、船で島に渡ることになっているんだけど・・・・・・。
あっ!きっと、目の前の船乗り場に停まっているあの渡し船がそうみたいです。
それに、可憐たちの行こうとしている島がここから見ることができます。
・・・・・・お兄ちゃんたちといっしょに住んで・・・そして、いっしょに学校に行くあの島が・・・・・・・・・・・・。
その可憐の様子を見ていた咲耶ちゃんが・・・。
「あら〜?!もしかすると、あなたたちもあの島に・・・?」
「は、はい!そうです」
「じゃあ、いっしょに行きましょう!これもきっと何かの縁に違いないし・・・ね!」
「うん!ヒナも行く行くー!!」
「あ〜!じゃあ、花穂も〜!!」
そうして、可憐たちはみんなでいっしょに島への船に乗ることになりました。
船が出航して、しばらくすると咲耶ちゃんが・・・。
「うふふっ・・・ねえ!せっかくなんだからお互いに自己紹介しましょうよ?それに・・・あの島に着くまでに、
まだ少し時間があるみたいだし・・・ね!」
それを聞いた可憐たちは、
「そうですね、可憐はいいですよ!」
「あっ!ヒナもヒナも!!」
「あ〜!花穂だってー!!」
と、みんな一斉に咲耶ちゃんの意見に賛成していました♪
「なんだか、もうみんな自分の名前を言っちゃったみたいね。一番後からで言いにくいんだけど、私の名前は・・・」
「咲耶ちゃん・・・でしょう?」
あっ!・・・可憐、つい・・・・・・。
「えっ!どうして私の名前を知っているの?」
「あ・・・、あの・・・、それは・・・、その・・・・・・、さっきバスの中で偶然に聞いちゃって・・・・・・・・・」
そう答えた可憐に、咲耶ちゃんは・・・・・・。
「え〜と、確か・・・可憐ちゃん・・・だっけ?ウフフッ・・・。可憐ちゃんって、見かけによらず意外と・・・・・・」
「えっ?!・・・あ、あの・・・・・・、意外と・・・何ですか?」
「あ〜、その・・・、ううん。何でもないわ!気にしないで!」
「そう言われると余計に気になるんですけど・・・」
「まあ、いいじゃないの!そのうち分かるかもしれないし・・・ね!」
少し気にはなったけど、そのまま自己紹介を続けることにしました。
「そう、私の名前は咲耶。で、この子が・・・」
「花穂でーす!」
やっぱり、可憐がバスの中で聞いたお名前で合っていました。
「私とこの子、花穂ちゃんとは姉妹なんだけど、実はお互いにそのことを知ったのはつい最近のことなの!
それに・・・私たちには、まだ会ったことのないお兄様がいて・・・・・・。
この春からは、あの島でいっしょに暮らせることになったの!
その時に他にも私に妹が、花穂ちゃんがいることが分かって、だったら、花穂ちゃんとはいっしょにあの島に
行こうってことになったの!」
「そう!だって、花穂1人じゃ・・・きっと、ここまで来れなかったと思うし、咲耶ちゃんがいてくれてよかったよ〜♪」
可憐は、そのことを聞いてとてもビックリしました。
だって、それは・・・可憐たちも・・・・・・・・・。
「可憐ちゃん・・・・・・どうしたの?急に俯いちゃって?」
「・・・・・・あ、あの・・・・・・、実は、可憐とこの子、雛子ちゃんも・・・咲耶ちゃんと花穂ちゃんと同じなんです!」
「えっ?!・・・同じ?」
咲耶ちゃんたちは、そのことを聞いて、とてもビックリしていました。
「へえ〜?!世の中、偶然ってあるものね〜!」
このあと、可憐は咲耶ちゃんと花穂ちゃんに、可憐が今まで外国で暮らしていたことや、日本に帰ってきて
雛子ちゃんと出合ったこと、・・・そしてこれから会うお兄ちゃんのことを話したりもしました
そのことを聞いた咲耶ちゃんは・・・・・・。
「もしかして、案外・・・私たちって、同じ姉妹かも?・・・・・・な〜んてね!」
「うふふっ・・・。もしかすると、本当にそうかもしれないですね?もし、そうだったら・・・とっても楽しそう・・・」
そのあとは、みんな楽しくおしゃべりが進んで、気がついたら、もう船が島の船着場に着こうとしていました。
ついに・・・やっと、ここまで来ました!
可憐たちがお兄ちゃんに会えるまで・・・もうすぐ・・・・・・。
可憐、早くお兄ちゃんに会いたいです!
(中編2に続く)