今日は週末の土曜日、待ちに待ったお兄ちゃんたちとの温泉旅行です♪
ことのきっかけは、ほんの一月前に可憐が鞠絵ちゃんのお見舞いに療養所に行ってきた時のことです。
その時、鞠絵ちゃんは小説のご本を読んでいて、その中に温泉が出てくるシーンが挿絵つきであって、
鞠絵ちゃんはとても温泉に入りたそうにしていたんです。
その時の鞠絵ちゃんのお顔を見た可憐は、今日お家に帰ったら、さっそくお兄ちゃんにお願いしてみるって
鞠絵ちゃんに言っちゃったんです。
そうしてその日、療養所から戻ってきた可憐はお兄ちゃんにさっそく温泉へ連れてってくれるようにお願いの
メールを送りました。
そうしたら、すぐその日の夜、お兄ちゃんから
『いいよ!みんなで温泉に行こう!』
ってメールのお返事があって・・・やっぱり可憐のお兄ちゃん、優しくて、とーっても大好きです!!
だから、鞠絵ちゃんにもすぐにお知らせしてあげました。
それを知った鞠絵ちゃん、とっても喜んでくれて、可憐もすごく嬉しかったです!
今、可憐は駅の改札口前に来ています。時間はお昼の1時少し前です。
鞠絵ちゃんとの待ち合わせをここにしたんだけど、ちょっと人が多くて大変です。
外でお泊まりするから、荷物がちょっと多くなっちゃって・・・お鞄が少し大きめなのでジャマにならないようにと
ちょうどあった柱に寄りかかるようにしています。
こんな時にお兄ちゃんがいてくれたら、可憐、お兄ちゃんに寄りかかっちゃうんだけど・・・な・・・・・・えへへっ♪
でも、お兄ちゃんはちょっと急なご用が入っちゃって、少し遅れてくるそうなんです。
お兄ちゃんは、鞠絵ちゃんといっしょに先に行っててと、可憐には言ってくれたけど・・・・・・
できれば可憐、最初からお兄ちゃんといっしょに行きたかったな・・・・・・・・・
可憐だったら、お兄ちゃんが来るまで頑張ってここで待ってるつもりだったけど・・・・・・
でも、鞠絵ちゃんまでずっと待たせるわけにもいかないので、お兄ちゃんに言われたとおりに先に行くことにし
ます。
それから10分程して、ホームに電車が入ってきました。
鞠絵ちゃん、この電車に乗ってきてるかな〜?と、可憐は改札口のほうに目を向けてみました。
電車を降りて出てくる人の最後のほうで鞠絵ちゃんの姿が見えました。
鞠絵ちゃん、可憐とお兄ちゃんのことを探しているみたいだったので、
「鞠絵ちゃーん!こっち!こっちですよーー!!」
って、ちょっと大きめの声で鞠絵ちゃんに呼びかけて、鞠絵ちゃんのほうに駆けつけました。
すると鞠絵ちゃんも小走りに可憐のもとに駆けよって来てくれました。
「可憐ちゃん!先に着いていらしたんですね」
「うん・・・と言っても可憐もついさっき来たばかりだけどね・・・えへへっ・・・・・・」
そうして、しばらく鞠絵ちゃんとおしゃべりをしていたんだけど、
「あの・・・可憐ちゃん。ところで・・・兄上様は・・・・・・?」
あ!そうでした!鞠絵ちゃんに大事なことを伝えなきゃいけないんでした。
「鞠絵ちゃん・・・実は・・・お兄ちゃん、ちょっと急なご用が入っちゃって、少し遅れてくるそうなんです。
だから、先に二人で今日泊まる旅館に行っててほしいって、お兄ちゃんが・・・・・・」
それを聞いた鞠絵ちゃんもちょっと残念そうで・・・
「でも、兄上様のことですから、あとから必ず来てくれますよね・・・・・・」
「うん、可憐たちのお兄ちゃんだもの、きっと来てくれるよ・・・・・・」
そうして、可憐たちはお兄ちゃんがあとから必ず来てくれることを信じて、次の電車に乗ることにしました。
可憐たちは、30分ほど普通の電車を乗ったあと、今度は特急電車に乗り換えました。
車内はまだそんなに混んでいなくて、可憐と鞠絵ちゃんはゆっくり向かい合わせで座ることができました。
鞠絵ちゃんも、ほっとしているみたい・・・うふふっ・・・・・・
電車が可憐たちの降りる駅に着くまでは、まだ1時間くらいはありそうだったので、可憐は鞠絵ちゃんとおかし
を食べながらおしゃべりを楽しんでいました。
でも、やっぱりお話の中心は・・・お兄ちゃんのこと・・・えへへっ・・・・・・。
「お兄ちゃん、今ごろもしかしたらくしゃみをしているかもしれないね!」
って、二人で笑いながらおしゃべりしてました♪
そして、可憐たちはようやく目的の駅に着きました。この時の時間は3時半ごろになっていました。
そこから今日お泊まりする温泉旅館までは、タクシーで行くことにしました。
20分ほど乗って着いたところは、とても落ち着いたお宿で・・・・・・
鞠絵ちゃんもとても気に入っているようでした。
玄関を入ると、お宿の人が出迎えてくれて、受付まで案内してくれました。
受付は、お着物を着たきれいなお姉さんがされていて、可憐、ちょっとウットリ・・・・・・
可憐もこのお姉さんのようにお着物を着て、きれいになった可憐をお兄ちゃんに見てもらいたいな〜・・・・・・
なんて・・・・・・えへへっ・・・・・・・・・。
あ!いけない!受付のお姉さんに名前を言わなきゃっ!!
そうして、名前をお姉さんに伝えたあと、
「一泊二食付きで、ご家族4名様で伺っておりますが・・・」
という確認をされました。
あれ?可憐たち、お兄ちゃんも含めて3人じゃ・・・?鞠絵ちゃんも不思議そうにしていました。
そのことをお姉さんに伝えると、
「そういえば、お昼ごろにもう一人追加してほしいという連絡がお兄さんのほうからありましたよ」
と言われて、可憐も鞠絵ちゃんもちょっと驚いてしまいました。
そのあと、可憐たちはお部屋のほうに通されました。
そこは、家族用の10畳ぐらいある少し大きめの和室でした。
あ!ということは可憐たち、今晩お兄ちゃんとこのお部屋でいっしょに寝るんだ・・・・・・そう思うと急に可憐の
心臓が・・・ドキドキ・・・となってきました。
うふふっ・・・・・・鞠絵ちゃんもひょっとしたら、可憐と同じこと考えてるの・・・かな?
鞠絵ちゃんのお顔・・・なんだか可憐と同じで・・・赤いみたいだし・・・・・・
「ねえ!鞠絵ちゃん!!」
「あっ!は、はい!!か、可憐ちゃん。な、何ですか?」
あ!やっぱり、そうみたい・・・・・・うふふっ♪
「あのね、さっき受付のお姉さんが、可憐たち今日は4人って言ってたことなんだけど・・・・・・」
「そうですね。急ぎのことみたいでしたので、もう一人がどなたかは分からなかったみたいですし・・・・・・・」
可憐たちは、そのもう一人が誰なのか考えていました。
誰だろう?家族で宿泊だから、身内の誰かなのは間違いないと思うんだけど・・・・・・。
もしかしたら、咲耶ちゃんかな?それとも花穂ちゃん?・・・それとも・・・・・・・・・?
結局、二人いっしょに考えても誰だか全然わかりませんでした。
そうこうしているうちに、時間も夕方の5時を少し回ったころになっていました。
すると、お部屋をノックする音が聞こえました。
可憐と鞠絵ちゃんは、
「あっ!きっとお兄ちゃんだよ!!」
「ええ!きっと兄上様ですね♪♪」
そうお互い言いながら、お部屋の玄関に向かいました。
可憐は、お部屋の鍵を開けて、その外にいる人を見ました。
そこには、可憐たちが待ち焦がれていたお兄ちゃんの姿がありました。
可憐も鞠絵ちゃんも嬉しさのあまりお兄ちゃんに抱きついちゃいました。
「うわっ!!可憐、鞠絵・・・ちょ、ちょっと・・・他の人に見られたら・・・・・
お兄ちゃん、ちょっとビックリしちゃったかな?・・・ゴメンね・・・えへへっ・・・・・・
「あっ!そうそう。急なことで二人にはまだ知らせてなかったんだけど、実はもう一人来てるんだ!」
「あれ?・・・でも・・・お兄ちゃん・・・可憐たちの前には他には誰も・・・・・・」
「ああ!すぐ、この宿の人といっしょに来るよ!・・・・・・・・・あっ!ほらっ!!」
あっ!そこにはお宿の人に連れられた、可憐たちがよく知っている女の子がいました・・・・・・。
(後編に続く)