第13回 「いつまでもいっしょに・・・」
 今日で9月も半ばに差しかかろうとしているころ・・・・・・。
ふと気が付けば・・・可憐の誕生日までは、あと10日ほど・・・・・・。
先月までの夏休みは毎日のように可憐とはよく会っていたけれど、さすがに二学期が始まった今月からは
そうもいかず、可憐も秋のピアノコンサートの準備があるために、毎日のようにピアノのレッスンがあって
思うように会えない日々が続いている。
そんな日々の中、ふいに僕のところに別の可愛らしい妹が訪ねて来た。
「おにいたま〜!・・・あのね、ヒナね・・・今日は・・・おにいたまに、ごそうだんがあって来たんだけど・・・・・・」
訪ねて来た妹は雛子だった。
どうやら何か困ったことがあって、僕のところに相談をしに来たらしい・・・・・・。
「あっ!雛子、どうしたんだい?僕に何か相談?」
そう雛子に訊ねると、雛子はさらに僕のもとに近づいてきてこう答えた。
「うん、おにいたま・・・あのね・・・もうすぐ可憐ちゃんのお誕生日だよね・・・・・・」
雛子は可憐の誕生日が近づいて来ているものの、最近ほとんど可憐と会うことがなくなっていて、
少し心配になっているようだった。
「可憐ちゃんのお誕生日・・・ちゃんとお祝いできるかな・・・・・・」
そんな思案顔の雛子に僕は、
「大丈夫!きっとできるよ!!」
と言って、とりあえずは雛子を安心させてあげてることにした。
そして、その後は家まで雛子を送ることになったのだけど・・・・・・・。
その歩きながらの途中に、先月の雛子の誕生日のことをフッと思い出すことになった。
その日は妹たちみんな全員が集まることができなくて、雛子と僕だけでの誕生日パーティーになったんだけど、
そのあとにはちゃんとみんなからプレゼントを貰ったりしてお祝いはしてもらえたようなので、雛子は満足していた
様子だった。
まあ、そういうこともあって、雛子は可憐の誕生日のことを心配しているようではあった。
それともう一つ考えることがあった・・・・・・。
可憐に贈る誕生日プレゼントはどうするかということだった。
「そういえば、雛子は可憐にあげる誕生日プレゼントはもう決めたのかい?」
思い出したように雛子にそう問い掛けると・・・・・。
「・・・・・・う〜ん・・・ヒナは、まだ考えてるところなの・・・・・・」
雛子もまだ決めてはいないようだった。
そして、雛子は今の不安を振り払いたいかのようにして、
「ねえ、おにいたま・・・ヒナとお手々つないでくれる?」
そう僕にお願いをするのだった。
僕は何も迷うことはなく、
「いいよ!」
と返事をして、雛子と手をつないで歩くことになった。
その時、僕は雛子と・・・妹と手をつなぐことで、この夏の雛子や可憐たちのことを次から次へと
思いだしていくのだった。
みんなで海水浴や夏祭りに行ったりして、とっても楽しく遊んだこと・・・・・・。
どれもこれもが大切な思い出となっていることに改めて気付かされていた。
そして、夏休みの最後を飾った可憐との2人だけでの旅行・・・・・・。
きっと一生忘れることのないとても大切な思い出がいっぱい詰まった可憐との2人だけでの旅行・・・・・・。
いや、思い出とするにはまだ早いのかもしれない・・・・・・。
ここで今の僕が可憐に贈りたいプレゼントは何かがはっきりと見えたような気がした。
雛子は雛子で、僕と同じように楽しかった時のことをいろいろと思いだしているようだった。
時々思い出し笑いをしている雛子を見ているとそんな感じがしてくるのだった・・・・・・。

 雛子を家まで送り届け、その帰りに僕はベティーズに寄って必要な材料を買い揃えることにした。
今まで大概は出来合いのものを選んでプレゼントとしていたけれど、今回はさすがにそれでは
僕の気持ちとして物足りないものを感じずにはいられなかった。
決して高価なものである必要はなく・・・可憐の気持ち、想いに応えられるような今の僕にできる・・・・・・
いや、今の僕にしかできないプレゼントを作りたいと思う気持ちでいっぱいとなっていたのだった・・・・・・。


 (後編に続く) 
(まえがき)今年も可憐ちゃんのお誕生日をお祝いしての記念SSを書くことにしました。
       設定(世界観)については「シスプリ2」となっていて、お話はゲームの期間が過ぎた後のことを
       想定して書いています。
       なお、執筆の都合上、
「シスプリ2」の可憐シナリオと雛子シナリオの一部がネタバレになっています
       ので、その点はご注意願います。