ここしばらくは可憐とは直接会うことがめっきりと少なくなってきていた。
もちろんメールや電話では時折連絡をし合ってはいる。
だけども、やはりお互いの顔を直に見れないと、なかなか落ち着かなくなってくるものではある。
だから僕は少しでもその距離を縮めるためにも作業を開始することにした。
僕も・・・可憐を身近に感じていたいから・・・・・・。
そう思い起こすと、この前の夏休みに可憐と触れ合った日々のことが次から次へと湧き出してくるのだった。
・・・・・・可憐と2人でテニスをしたり・・・遊園地のプールに行ったり・・・公園で花火をしたり・・・
美術館に絵を観に行ったり・・・海水浴や夏祭りでみんなと遊んだり・・・髪型を変えた可憐にドキッと
させられたり・・・ピアノコンサートに招待されて、可憐の想いがこめられた演奏を聴き・・・そして、最後には
泊りがけでの旅行・・・どれもこれもが楽しくて、そして甘い思い出となっていた。
でも、その旅行に行った日の夜に聞かされた可憐の告白・・・・・・。
その時、僕は可憐にどうすることも出来なかった。
ただ聞くだけしか出来なかった・・・・・・。
次の日の朝に、改めて可憐の想いを聞くことになったけど、お互いに兄妹である以上は、
どうしてもそこで思い留めるしかなかった・・・・・・。
僕自身も気持ちとしては、可憐と同じだったから・・・・・・。
けれども、もし僕と可憐が実の兄妹ではなかったらとしたら・・・と考えたことはあった。
今までは血の繋がった兄妹であると信じて疑わなかったけど、お互いともがそういう気持ちになるということは、
もしかしたら本当の兄妹ではない可能性もあるかもしれない・・・・・・。
後になってから、僕はそう思うようになってきていた。
実際、本当に兄妹であるかどうかを確かめたことはないし、100%の保証はどこにもない。
もしその気になれば、確かめる手段があることは知っていたが、そこまで踏み切る気にはまだなれなかった。
きっとそれは・・・どこかにすべての願いが叶う道があるのではないかと信じていたかったからに違いなかった。
だから、僕は可憐の誕生日までに、可憐の気持ち・想いに応えられるような僕自身にしか出来ないものを
作り上げることに決めたのだった。
そして、可憐の誕生日当日・・・・・・。
僕と雛子は可憐の家に足を運び、可憐の誕生日を祝うこととなった。
「可憐、お誕生日おめでとう!!」
「可憐ちゃん、お誕生日おめでとう!!」
僕と雛子は可憐にお祝いの言葉と、そしてプレゼントを贈った。
可憐は僕と雛子からのそれぞれの贈り物の包みを解いた後、しばらくの間はそこから目を離せないでいた。
そして、ようやく顔を僕たちの方に向けてくれた時には、こぼれるばかりの満面の笑みを浮かべて・・・・・。
「お兄ちゃん、雛子ちゃん・・・ありがとう。・・・可憐、とっても嬉しいです・・・・・・」
その可憐の言葉を聞いて僕はようやく安心することが出来た。
というのも、僕が可憐に贈ったプレゼントは・・・・・・。
「・・・でも・・・うふふふ・・・お兄ちゃんのエッチ☆
可憐の水着姿なんて・・・恥かしい☆
・・・・・・それに・・・可憐、こんなにプロポーションよくはないですよ♪」
「あははは・・・・・・・」
そう、それは夏休みの最後に旅行に行った時の海水浴中の可憐の姿を描いた絵だった。
「しかも何だかこの可憐・・・お兄ちゃんの・・・その・・・キスを待っているみたい☆・・・キャッ!!」
「あははは・・・・・・・」
「もしかしたら・・・お兄ちゃんも可憐と・・・同じ・・・気持ちなのかな・・・・・・」
可憐に僕の気持ちは伝わったのかもしれない・・・何だかそう思えるのだった。
ところで、雛子も可憐のプレゼントは僕と同じように可憐のことを描いた絵を贈ったようだった。
でも、そこには可憐だけではなく、僕のことも描かれていたので、少し驚くことになった。
そこにはみんなで海水浴に行った日の、海で水のかけ合いをして楽しんでいる姿が、とてもいきいきとして
描かれていたのだった。
「雛子は、おにいたまと遊んだ日のことも楽しかったけど・・・みんなでワイワイして遊んだことも楽しかったよ!」
「うふふふ・・・可憐もそう!・・・お兄ちゃんとの時間ももちろんだけど、みんなで集まって遊んだ時も
楽しかったね♪」
・・・・・・そうして、今日は幸せに満ちあふれた・・・そんなひとときがいつまでも続いてくれたらと思わずには
いられない日となるのだった・・・・・・・・・・・・。
(おしまい)
(あとがき)いかがでしたでしょうか?
けっこう迷いに迷ったのですが、最終的には無難なところにまとめてしまいました(汗&笑)。
ストーリー自体は「シスプリ2」の可憐血縁ベストEDのその後になっています。
当初は非血縁ベストED後のストーリーにしようと考えてはいたのですが、それだともうその後はSSが
何となく書けなくなるような予感がしたので、それならまだ続けられる可能性のある血縁ベストEDの
方を選ぶことにしました。(シスプリのSSは、まだまだ書きたいですし・・・(微笑)
今回は、兄妹だけれどもお互いに兄妹以上の気持ち・想いを抱いてしまった場合・・・もしかすると
本当の兄妹ではない可能性もあるかもしれない・・・そうなるとお互いを異性として意識することは、
ある意味間違ってはいない・・・という考え方もあってはいいのではないかという結論に至りました。
まあ、これは某アニメ作品の影響を大きく受けているということもありますが、「シスプリ」自体にも
そういったテーマを内包していると言えなくもないので、とりあえずは良しとしています(謎&笑)。
そして、次回からは妹の「誕生日」にはあえてこだわらずにSSを書いていきたいと思っています。
(「誕生日」にこだわりすぎると、かえって書きにくくなるので・・・(汗々)
それに気が付けば、もうすぐ衛の誕生日が近づいているので、今度は「かれまもかほ」で書いて
みたいな〜!・・・と考えていたりもします(微笑)。