| 昨日の車検時に、T氏からお土産を頂いた。( Haltech SPORT 1000 ) ” 顧客に付けるECUが有るのだが、電源が入らない ” 診てもらえないだろうか との事。
今日は、寒い雨模様 ( 関東は、雪 )。 エリのトラブルで、ガレージ作業をしたいのだが、寒いので腰が上がらない。 ラボ作業に切り替えた。
図面を見ながら、電源とGNDに配線をする。
ここで、いきなり電源を供給はしない。 まずは、引き出した電源とGND間の抵抗を調べる。 すると、0.5Ω とな。 ショートしている。 こりゃ、死んでるかな ......
じっくりと基盤を見て行くと、基盤の端で焼き焦げている部品を発見。 シルクを見ると、ZR8と打たれていることから、TVSダイオードと予想される。 外部から高電圧( ESD )が掛かったか、電源逆差し等が有ったという事になる。 ( 因みに、国内車載ECUの設計は、電源逆差しでも壊れない事を求められる ) それにしても、ここまで焼き焦げているのは、相当な高電圧が掛かった事を示している。
現時点で、ショートしているとなると、破壊モードは短絡の筈。 取り外したTVSダイオードをテスターで見ると、アノード カソード間は、0Ω。 見事に短絡していた。
過電圧保護は、ESDを検知して高電圧ノイズを逃がすまでに、わずかだが時間が掛かってしまう。 そうなると、高電圧サージが基板上の部品(マイコン、その他 IC)の内部にまで至って、内部回路を破壊して しまう事は多々ある。
まあ、TVSダイオードを取り外した状態で、電源−GND間に抵抗が見えれば、未だ望みは有る。 抵抗を計ると、ほぼ30kΩ。 まともな値が出てきた。
電源を繋いで、12.5Vを印加する。 電流 : 360mA そして、動作を示す LEDが灯った。
LEDが灯ったと言う事は、生き返った可能性有り。
そこで、調べられる所を全て見ていく。
1. 5V、8V電源出力 外部のセンサー用電源として出力される電源だが、正常値が出ていた。
2. 燃ポン制御 ECU ON後、約5秒間 燃ポンの制御( リレーのコイルに電流を流すため、ECUは GNDに落とす ) が入っている。 ( 正常
3. IACV制御 ステッピングモーター用の制御だが、34番ピンのみ代表で見てみた。 ECU ON後、ある時間だけ動いて停止。 ( 正常
4. +12V スイッチ電源出力 11番ピンのみ代表で見てみた。 ECU ON後、+12Vが出力されている。 ( 正常
まあ、ここまで動いていれば、正常動作していると思われるが、実際に車に搭載して正常動作するか 否かの調査は必要。
< 後記 >
破壊されたTVSダイオード、 マーキングを見ると ” STマイクロ製 ”の様だが、生憎この品番は 見つからなかった。 恐らくは、廃版なのだろう。 ( SPEC不明 他のダイオードで代替するか、バリスタを使うか、保護無しにするかは、T氏に任せよう。 ( 因みに、私の手元には、TVSダイオードもバリスタも無いからね〜 )
2023.2.15日 更新
T氏の再依頼が有り、こちらで修理する事にした。 故障した部品のSpecは解らないが、サージ吸収が主な部品なので、12V仕様で手に入る部品を探した。 TVSダイオードも手に入るが、リール売りである事、パターンの剥がれもある事から、バリスタを選択。 TVSダイオードのパッケージが焼けていたので、下画像の様にパターンが剥がれてしまっている。 この面には半田付けは不可能。 パターン剥がれを放置すると、破片が基盤上に飛散する恐れが有るので 接着剤で着けておく。
下画像の左側が、バリスタ( TSV07D270KR )。
バリスタを実装。 ( GND側のパターンも浮いているが、まあ大丈夫だろう )
実装後、動作確認して問題無し。
< 後記 >
この基盤、表面には保護用のコーティングが施されていない。 ( エメラルドも同じ ECU基盤で処理されていない物は、信頼性が低い。( 未処理は、特別の場合を除き考えられない 結露、浸水、伝導性のゴミ付着、半田ボールの剥がれ付着 等々が発生した場合、即座に不具合となる。
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