黒紙 オイルパステル
グルジアの画家ピロスマニ、彼が村に訪れた踊り子に恋をして
数え切れなぬバラを彼女に贈ったがその思いは、遂げられなか
った。
四日前、村の収穫祭に踊り子が来て、劇中でダンスを踊っていた。
イワンは、彼女を一目見るなり恋に落ちてしまった
ピリンスカヤの美しい声、横顔、華やかな髪形がこちらを向く度に
はねるようにゆれる。
今朝になり走り去ってゆく馬車、何も告げずに行ってしまうのか?
イワンは野花を積み花束にして、彼女に贈ろうと一生懸命追いかけ
たが、間に合わなかった。
晩冬のサンクトペテルブルクへやって来たのは、このカフェ
「ボルガ」でとある女性とのまちあわせのためだ。
雪は少なくなったが外はまだ寒い。
コーヒーカップにウォッカを入れゴクと飲みからだを温める。
そろそろバレエ「モニビ・フローレ」の舞台がはねて出演して
いるバレリーナのピリンスカヤがこの店に現れるころだ
来た、彼女の頬が赤く染まっている。
黒ミンクの毛皮のコートを着たままソファーにかけた
レンズ鳥が春を告げるかのように チョッ! チョッ!と鳴いた。
口を尖らせ口笛をピュー!ピュー!
ロシアの少女が鳥たちとお話ししてます。。
黒紙 オイルパステル
板に黒で地塗りし
オイルパステルで着彩
147×107㎝