今月のメッセージ 144-091202
「孤独な青年が聞いたクリスマス物語」
永山 進牧師
年末の雑踏の中を疲れた足を引きずりながら歩いていたその青年は、ふと、教会の前で立ち止まりました。12月24日、クリスマス・イブの夜、教会では特別な集会が開かれていました。日ごろ信仰とか教会とか考えたこともなかった青年は、その夜だけは違いました。教会堂から静かに流れてくる賛美歌に誘われるように、生まれて初めて教会の中へ足を踏み入れました。そして、クリスマスについての話を聞いたのです。「もし、自分は幸せだ、何の問題もないと考えている方には、この集会はあまり意味がないと思われるかもしれません。けれどもし、今、心に空しさを覚え、自分の生き方を変えたいと思っている方がいますなら、心を少しでもクリスマスに向けてみてください」。 牧師が語る言葉をボンヤリと聞きながら、青年は、心に温かいものが流れてくるような気持ちに浸っていました。“何故生きているの?”と聞かれても、答えようがない人生を歩んできた自分。けれどもこの夜は少し違いました。クリスマスの話を聞きながら、心が泣いたり、笑ったり、まるでいのちの鼓動が聞こえてくるくらいに熱くなっていたのです。 牧師は静かにクリスマスの意味を語りました。青年は、いつしかイエス・キリストについて考えていました。十字架につけられたと言うその人物、多くの人が神と信じているあの人は一体自分とどのような関係があるのだろうか。 牧師は青年の方に視線を向け、最後の言葉を語り始めました。「あなたの心を少しでもいいですからクリスマスに向けてみてください。聖書に次のような言葉があります。“神は、実に、そのひとり子をお与えになったぽどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。”(ヨハネ3:16)ここでいう御子とはイエス・キリストのことです。そして、あなたの救い主でもあるのです。このお方に出会うことこそ、クリスマスの意味なのです」。 青年は、このクリスマス・イブの夜、自分の空しさと同時に、それを埋めてくれる神の恵みを初めて体験したのです。 |
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