今月のメッセージ 131-070903
「心と魂のケア」

                                                                  永山 進 牧師
大阪にある淀川キリスト教病院で、病院付チャプレン(牧師)をしている藤井理恵さんは、その著書「たましいのケア」の中で、こんなことを書いています。「病院で入院している人は病気だけが苦しいのではない。・・・どうしてこんなことになってしまったのか、何故自分の身にこんなことが起こるのか、将来の夢の挫折、これから起こってくることをどのように考えれば良いのかという不安、家族の重荷になっているのではないかと言う苦しみ、自分の本当の気持ちをわかってもらえない孤独等々、言葉で言い表すことが出来ないほどの大きな困難に直面する」と言うのです。
さらに病気が重く、長引くと、人の為に何かをすることよりも、人にしてもらうことが多くなる。そうすると、「人の世話こなって生きている自分に、生きる意味があるのか」と自問することにもなる。これは心の痛み、魂の痛みだと言うのです。
日々このような痛みを持つ人のケアをしている彼女は「このような心の痛み、魂の渇きは、病気のあるなしにかかわらず、誰でも持っているのではないか」と指摘しております。たとえば、体は健康で、仕事もまずまず、家族、友人もいる。しかし心のどこかで虚しさを感じたり、自分の中に、何によっても埋められない部分があるのを感じたりする。それは「どうせ人間皆、生まれて死んでいく。一体何の為に生きているのか?」「こんな生き方をしていて良いのだろうか?」と言う心の求め、渇きではないかと言うのです。
このような問いは、一人ひとりが様々なかかわりの中から答えを見出すほかはありません。藤井さん自身、いのちの危機に直面し、長い闘病生活を通し、次のように述べています。「究極的には、人間を超えた絶対者、神との関係の中から答えが出されるものと患います」。
心の深い問い、たましいの求めに、人間の答は不十分です。人の心に、永遠を思う思いを与えた神だけが、答えを与え得るということを痛感します。


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