(工事中)
人材開発課による全社教育分析
全社としての教育分析
教育の網羅性の確保
「能力に応ずる」は「職種・職能・職級ごとに」と解釈。
人材開発課の仕事。「ひとしく」は係らない。推奨事項。
「すべての〜ひとしく」は同じ人事資格の中での差別禁止。
人事課の仕事。選抜教育試験は人事資格として人事課が扱う。
教育使命に対する社長及び人材開発課の責務
多くの職務に対してOff-JT課程を会社として提供する。
人材開発課は全社の課程の企画を担当する。
実力に応じる人事資格管理: 資格査定は教育行為そのものではなく、教育とは別の人事制度として人事課だけが扱う。資格査定には実務成績、試験成績、面接(口頭試問)による実力評価を用いてもよい。人事実力主義の人事のことを「公正な人事」とも言う。学校の入学試験もその仲間である。 | |
資格の中の教育機会均等: 課程・課目の教育は所定の資格(職種・職能・職級)の従業員のクラス(部分集合)に対しては、教育課は全員に対して平等に教育機会を提供する。この平等主義のことを「公平な教育」とも言う。なお、教育の途中では、最後に全員が合格することを目的として個人差に応じた指導をすることができる。 | |
資格の間の教育機会均等: すべての資格(職種・職能・職級)の従業員群の間に対しては、人材開発課は均等に課程・課目を制定する。この資格間(部分集合の間)の平等主義のことも「公平な教育」と言う。例えば、技術職には課程があるが、事務職には課程がないというのは不平等である。 |
教育基本法や憲法では文の中の語句の順序が込み入っているが、村井訳や英文では次の二つの文を合わせた複文であるということが分かる。
「(複数の)各人の(異なる)能力(種類)に応じる(複数種類の)教育機会を与える」: 「能力に応じる」とは職種・職能・職級などの複数の種類に応じるという意味であり、複数の種類の教育機会(課程・課目)を提供する。 | |
「教育機会をすべての人に平等に与える」: それぞれの教育機会を利用するのは同じ資格の人同士では公平でなければならない。資格は人事管理によって厳正に扱う。 |
能力という言葉は定量的な成績を意味するものと誤解しやすいが、主に「水泳ができる」「算数ができる」「事務ができる」「製造ができる」などの種類のことを意味している。
どの従業員がどの課程・課目を受講するかの受講管理は、職歴や資格査定に連携することなので、人事課の仕事である。そうすると人材開発課の仕事がなくなってしまうだろうと誤解してはいけない。多種多様な課程・課目を制定・維持することは、多種多様な職種・職能・職級を管理する人事課や多種多様な製品種類・役務種類の生産管理や品質管理をするのと同等に大切なことなのである。人材開発課が担当するヒト、モノ、カネ、タイムの資源管理も、ノウハウ(課程・課目体系)の複雑さに呼応して複雑性を持つ管理対象である。
アメリカ教育使節団報告書、1946
村井実訳:『アメリカ教育使節団報告書』,講談社学術文庫,1979.
児玉三夫編:『Educational Documents of Occupied Japan Vol1 CIE(15February1946)?
Education in Japan −英語版―』,明星大学,1946. (国会図書館で閲覧可能)
アメリカ教育使節団報告書の村井実訳と原書の英文は次のとおりである。左から右へと文を構成する語句の順序を示し、矢印を含む線によって係り受けの関係を示す。村井訳も英文も素直な構造であり解釈しやすい。
憲法、1946.11.3公布、1947.5.3施行
次は憲法の和文と英訳である。係り受けの関係に対して語句の順序が更に複雑である。
教育基本法、1947.3.31
日本語の原文は主語の文節が文の途中に入っている。
英訳は単文である。
次は教育基本法の和文と英訳である。和文は語句の順序と係り受けの関係が対応していない。
Johnson
and Johnson, 「Our Credo」
ジョンソン・エンド・ジョンソン社, 「我が信条」
We are responsible to our employees. 我々の第二の責任は全社員に対するものである。(君島訳: 我々は我が従業員に対して職責を果す。
They must have a sense of security in their jobs. 社員は安心して仕事に従事できなければならない。(君島訳:従業員には職業の安定を感じさせなければならない。[労働用語を])
There must be equal opportunity for employment, development and advancement for those qualified. 能力ある人々には、雇用、能力開発および昇進の機会が平等に与えられなければならない。(君島訳:資格に応じる採用、能力開発、及び昇進の機会は平等でなければならない。)
We must provide competent management. 我々は有能な管理者を任命しなければならない。(君島訳:我々は有能な管理職を提供しなければならない。[方向が逆])
職務・職種・職責
職務 一人分の仕事
職種 類似した職務群の分類名
職責 特定の職務へ職員が配置された時の、その特定の職員の職務のこと。
「私の職責は〜」と必ず特定人の主語が付く。
職務標準に対してその人用に変更が加わることあり。
責務も責任も本来は職責の類似語だっただろう。
米国の採用記事では、特定の人の職責を記載することが多い。
職能と目標の関係
職能
「〜できる」
単純で人事管理向き
人事DBや人事調書に向く
単純な等級を設けてもよい。教育評価の等級に相当。
目標
「〜の条件で、〜が、〜の程度できる」
厳密で教育の分析・評価向き
社員の成績向上や課目の改善に向く
百点満点・千点満点の成績をつける。
提供課目のギャップを分析して埋める
どのぐらいの教育量にするか
すべての職務
購買、製造、物流、販売、総務、人事、教育…
すべての職能(コンペテンシ)
職務を分解した業務単位。教育ならADDIEの5業務
職務の中の選択単位。公共営業と消費者営業など。
職務間の共通の業務単位。英語による交渉など。
すべての職級(標準年数は3〜4年)
例えば、10職務・職能×10等級で百課程。
この職務は教育不要・教育困難という疑問?
言い訳せずに教育を試行して成績を議論せよ。
教育の必要時間数はどのぐらいか
職務・業務を細かな作業項目へ分解する
その他、必要な知識等の指導項目を追加する
ほぼ5分間で説明できる程度の単位に整える
項目数×5分間=座学時間
演習時間は座学時間の2倍が目安
1課目=座学15時間+演習30時間が目安
作業手引書が30行×200ページなら
だいたい座学15時間が対応する。
1課程は例えば8課目で360時間=約10週
教育の価格・費用(人件費分)は
4年ごとに10週間課程を受講するとして
1年平均は2.5週間=12.5日
1年の労働日数は220日として、12.5/220=5.6%
教育課の設計・開発工数は
200ページの座学教科書には約4人月
4年ごとに百課程×8課目を改版するとする
1年につき200課目を改版する
1年につき200課目×4人月=800人月
設計・開発だけで66人の講師が担当
3300人の会社なら百人あたり二人が講師。
協会活動で分析〜開発の質向上や小企業支援を。
大企業の教育課程で修行させてもらう。
言い訳しないでこつこつ開発。時間がかかるが時間が解決。
施設案内(オリエンテーション)
新任者・異動者には最初は右脳で記憶に残る形や音を使う。
左脳を使う言語・概念・数値の記憶を強要する教育とは区別。
初心者でも労せずに分かる入り口まで迎えに行く。
現場、実物、本人の所まで連れて行く。
資料を作って説明するな。日常でも使う案内看板などは使用可。
挨拶・説明は訪問先の人にやらせよ。主催者が説明するな。
音声での簡単な説明でよい。
内容の記憶よりも顔や音声の記憶が大切。
一度顔を会わせると、後はメールや電話でも意志が通じやすい。
視聴覚に訴える儀式や懇親会をする。
訪問先にも利益がある
整理整頓する。
説明者以外の同室の社員も新任者・異動者のことを認識する。
自分達の職務分掌や目的を再認識する。
作法教育・法規教育から発想しない
作法や法規は行動の断片である
作法や法規が係わる行動の全体構造を明らかにする
著作権法の背後には商法や販売工程・営業工程がある
行動の全体像を再分割して、職務・業務へマッピングする
作法も教育学の知識・身体技能・態度に属する
作業項目→必要な能力種類→指導項目という順序に分析する
法規や作法や倫理は他の種類の能力と混合して教育する
混合できない残りは単独の課目・指導項目にしてよい
会社作法ではなく会社作業基礎を教育せよ
机の使い方、手帳の使い方、名刺の扱い方・・・
名誉社員級の権威や教育デザイナでないと設計困難
学習領域の大分類
態度も学習領域であり、複数の水準がある。
教育関係者は上品であれ
例えば服装作法はTPO(時期、場所、状況)対応
季節、気象によって服装を変えるのは能力である。
選ぶ技術、選ぶ楽しみがある。服飾学の高度な分野である。
礼服、仕事着、外出着、普段着などの分類構造がある。
構造的な行動を分析し、構造的な教育を企画する。
仕事ならスーツ、買い物なら外出着、自宅なら普段着
「番組に出る時は外出着を着る」なら構造的で上品な教育。
「Tシャツを着て番組に出るな」は下品で実用しにくい教育。
「外出着の裾はズボンの中へ」 ○えなりかずき、×宮里藍
TPOも多種多様、それに対する作法・法規も多種多様
多種多様の作業・能力が対応する。素人考えでは分析不可能。
だから職務分析や教育分析をして構造的に処理し、混合する。
態度(倫理・道徳)を含む動詞・文を収集して分類する。
職員は客や市民とは対等である
利害関係者は市場縁組。互いに選ぶ権利がある。
買う客 販売市場
売る人 調達市場
投融資家 金融市場
従業員 労働市場
(政治) 税金を納める。陳情する。投票する。
(社会・環境) 社会活動に貢献する。環境を維持する。
市場縁組の三つの観点:日本人の観点は一方的
分析の切っ掛けと案件管理
案件一覧表で人材開発課の中を管理する
年間業務計画線表で人事部の中を管理する
課程一覧表は5か年計画等の節目に見直す
課目一覧表で2年経過した課目は見直す
状況の中から制定・改定の切っ掛けを発見する
制度上の教育所要を認識する
上からの命令・所見。会議や打合せの記録・記憶
帳票、報告書
多様な表現の所要
具体的な教育変更要求(必ずしも教育が原因ではない)
教育の問題点(症状)、教育資源の変更や問題点
戦略・運用の変更、戦略・運用の問題点
人材開発課による評価・改善
教育の最適性に関する教育課への改善要請
教育課と現場との論争の大所高所からの裁定
教育ニーズの解釈のずれの解消
Off-JTとOJTの指導項目・到達目標の調整など
課程・課目の横通しの比較評価
課程・課目の横通しの重複や抜けの解消
課程・課目の縦の水準ぞろえ(簡単過ぎ、難し過ぎ)
職級と成績を照合して目標基準・課程を変更
事例分析や品質改善運動でノウハウ蓄積
人材の評価の話はしないのか?
TOEICが640点だと評価したとして
それでどうなると言うのか。まず教育ではないのか。
講座の学習目標を840点以上と定義して意味はあるか
32項目の360度評価をしたとして
その項目が管理職の資源管理作業と関係あるか
管理職の課程のどの課目のどの指導項目で育成するのか
教育の学習目標の設定と呼応すべき
評価職能を学ぶ前に学習目標の設定方法を修得・実践すべきではないのか
職務分析の職能のない人が、人事管理や生産管理をしてよいのか
人事管理なり、人材開発なり、教育なりの全体を運営し、改善し、勉強しなさい。制度ではなく業務を。
参考:職能資格制度に見る歴史
竹中統一他編、「職能資格制度の今後の方向」、2002、
参考文献
「海上自衛隊の教育訓練の実施に関する達」、防衛庁ウエブ、1967。
田代空、「研修基礎講座1:研修論」、産業労働調査所、1985。
渥美俊一、「チェーンストア 能力開発の原則」、実務教育出版、1987。
楠田丘監修・野原繁著、「人を活かす人材用語解説集」、経営書院、1993。
津田真澄、「新・人事労務管理」、有斐閣、1995。
1997年にゴア副大統領名で出された連邦職員の教育改善資料
「Getting Results Through Learning 」
http://www.faa.gov/ahr/super/learn/results/toc.cfm米国の人材開発専門家の検定手引書
http://www.hrci.org/Certification/HB-PDF/2006-HAN/米国の連邦航空局の人材方針マニュアル
http://www.faa.gov/ahr/policy/hrpm/hrpmtoc.htm#ld中央職業能力開発協会のビジネスキャリア制度
http://www.bc.javada.or.jp/standard/standard1.html