16.映画の俳優

戻る ホーム 上へ

 明治35年(1902年)1月27日に救援隊によって八甲田山雪中行軍の遭難事故が明らかにされた。

 2月18日に東京の芝居小屋真砂座がドキュメンタリ演劇「雪中行軍」を上演して満員になった。

 大正10年(1921年)に、ドキュメンタリ映画「雪中行軍」が制作され、好評であった。

 新田次郎のフィクション小説を元にして、昭和52年(1977年)にフィクション映画「八甲田山」が制作されて評判になった。

 史実の登場人物と、映画「八甲田山」の配役を対比すると次のようになる。

 大体において、映画は史実よりも年長の俳優を配役している。実際の軍隊では大尉の年齢は34歳前後、少佐は38歳前後、中佐は42歳前後である。これは民間企業の課長代理、課長、部長の年齢に近い。体力も残っており、知識もありという働き盛りである。三国連太郎、加山雄三、高倉健の年齢では、実際の軍隊ではきついだろう。

 北大路欣也は実際の人物と年齢が近いし、顔の雰囲気も似ている。回りをベテランの俳優で囲んだので、相対的に頼りなさそうに見える。三国連太郎や高倉健は年齢だけでなく、雰囲気も史実とは相当に違う。これが創作の妙味であり、観客は作者が訴えたいことに引き込まれていくのである。

[ 戻る ] [ ホーム ] [ 上へ ]