◆世界の竜巻と農業の場所 (http://www.windows2universe.org/earth/Atmosphere/tornado/agri_map.html)
(赤点:1930年〜1985年の竜巻発生地点、薄緑:農業地帯) 多くの竜巻は、農業地帯で起きます。竜巻はその元である雷へ水分を供給する必要があるし、竜巻の不安定さは春や夏の暖かさと関連しています。農作物は成長のために水分を必要とし、気温の変動は季節の変化と関連しています。竜巻と農業の両方の生育条件が、地図に示すように同じ地帯に基づいています。 (c)copyright Windows to the Universe |
このように米国では、農業地帯と竜巻発生地帯とが共通性が高いことが、学校向けの教材になっている。米国の農業地帯に住む人に注意を促すためであろう。しかしその理由は理学的には究明されていない。
東日本大震災の後に、津波被害を歴史学的に研究する学者によって、過去に津波被害があった地域を今後の要注意地域と見なすことが、社会的に合意が得られた。従来は理学的に証明されたことしか論拠にしづらかった。
このような変化は竜巻についても必要と思う。日本の中でも農業地帯を、竜巻の要注意地帯と見なして、防災対策を施すのである。
◇北半球の農業地帯・竜巻発生地帯の共通点
北米中部・東部 | 温帯〜亜寒帯 | ロッキー山脈の東 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
日本・中国東部 | 温帯〜亜寒帯 | シベリアの東南 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
インド北部 | 温帯〜亜寒帯 | ヒマラヤ山脈の南 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
欧州 | 温帯〜亜寒帯 | 北極の南 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
農作物に適した気温であり、竜巻を発生させやすい湿気や上昇気流がある。 | |
西や北に寒い地帯があり、偏西風などにより寒気団が到達しやすい。 | |
低地は気温が高く、平坦なので暖気団が巨大に育ちやすい。 | |
沿岸に暖流が流れていると、陸地と一緒に暖気団が育ちやすい。 |
◇南半球の農業地帯・竜巻発生地帯の共通点
南米の東南部 | 温帯 | アンデス山脈の東 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
豪州の東岸・南岸 | 温帯 | 南極の北 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
アフリカ南部の東部 | 温帯 | 南極の北 | 低地が多い | 沿岸に暖流 |
特徴は北半球とほぼ同じだが、南という条件が逆の北という条件になる点が異なる。 |
◇竜巻が少ない地帯
最後に、農業地帯や竜巻が少ない地帯は次のとおりである。
極地・寒帯 |
竜巻に必要な暖気団と出会う場所ではない。 |
赤道付近・熱帯 |
竜巻に必要な寒気団と出会う場所ではない。 |
北米西部・南米西部 |
山岳地帯が多い。沿岸が寒流なので陸地が暖まりにくい。 |
中央アジア 中近東 アフリカ北部 |
乾燥地帯は竜巻を強くする湿気が少ない。 温度変化や地形の凹凸により風が吹いてしまうので、竜巻までに至りにくい。 |
南米北部 |
森林や河川が多く、日射による温度上昇が緩慢である。 |
アフリカ南部の西部 |
高原地帯・乾燥地帯である。 |