あとがき
……ちょっと、叫んでみてもいいでしょうか。(反転指定)

直江の大馬鹿やろおおぉぉーーッッ!!
そこで去るなぁー!このアホ!!


……はぁスッキリ。
さて、いかがでしたか「三年は遠く…」。真夏なのにさぞや背筋が凍りついたことでしょう。猛吹雪が吹き荒んで凍死しそうです。
この話はかの有名な、平安朝の歌物語、「伊勢物語」の二十四段「あづさ弓」を題材にしています。ご存知の方も多いことでしょう。
この「あづさ弓」との出会いは遡ること三年、高校入試直前の模擬試験中のことでした。問題文に出題されたこの「あづさ弓」を読んで、「なんて悲しい話なんだぁーっ!」と試験中にもかかわらずボロボロ泣き出したのが始まりです。
その時からずーっと「いつかこの話で直高パロで書いてやるぜ!」と心に決めていたのですが、今回ようやく夢あい叶いました。
もっとサラッとした短い話になる予定でしたが、予想外にドロッと長い話になってしまいました。
すべては藤原匡範が悪いんです。ええそうですとも。最初あんなキャラじゃなかったのに、書いてくうちにどんどん嫌なヤツになっていくし。なんでそうなったかと言うと、つまり本文だけだと、この匡範役の人もなかなかに可哀想なんです。せっかく好きな人と今夜ようやく結ばれるって時に……ってね。だからどうしても「可哀想なキャラ」にしたくなかったんです。そしたら徹底的に悪人になってしまった……。あいつのおかげでドロドロ血塗れです。ここまで最悪なキャラクターは初めて書きましたよ。最初いい人と見せかけといて。騙された方も多いことでしょう。是非とも嫌ってやってくださいな。(怒)

今回平安時代ということで、初めての試みでしたが、例によって時代考証の方はきっぱり無視してやってくださいませ……。
伊勢物語ということで、在原業平が生きていた頃ですから平安初期。藤原全盛期辺りとは大分文化も違うでしょう。しかも京ならともかく、地方のことなんてもっとよく分からないですねι。一応舞台は東国ですが、イメージ的には多分駿河辺りから常陸辺りまでのどこかです。
匡範は国司。中央貴族です。対して直江はよく分からないので詳しくは書きませんでしたが、散々「下賎の者」などと言われているものの、かと言って租調庸に苦しんでる農民階級などではなく、地方豪族出身の郡司の息子か何かなのだと思います。
郡司の子は国学に通うので。流石に教育を受けないと教養が身につきませんしね……。なにしろ和歌の名人だそうですから(笑)。
そうして国衙に勤め、優秀さを見込まれて在庁官人として出世していったと。高耶さんもおそらくは地方豪族出身かと思われます。

作中の和歌ですが、一・二話の「尽期の君」「徒し契」の歌はすべて古今集の詠み人知らずから厳選しました。私は特に後朝の歌に採用した歌がとても好きです。こんなの詠まれたらもう高耶さんじゃなくともたまらないでしょうねぇ。ああ、おのれ直江め……v。

第三話の「恋塚」の歌は「あづさ弓」本文から。「あづさ弓引けど引かねど昔より」の辺りでもうじわっときますが、最後の血で書き付けた「相思はで」の歌は、何度読んでも泣けてきてしまいます。これが千年以上前に書かれた話なのかと思うと……ああ、日本人ってすごいなぁ。
最後の場面は……私初めてこの話読んだとき、絶対二人が最後には幸せにjなるんだって信じて疑っていなかったので、「ええぇぇっ、そんなっ、死んじゃったのっ!?」と試験中壮絶な衝撃を受けてました。
最後、女は清水のほとりで絶望のあまり死んでしまうのか、それとも悲しみに耐えかねて泉に身を投げてしまうのか、二説ありますが……どちらにせよ悲しいお話ですね……。
私はこの話が伊勢物語の中で一番好きです。二番目は芥川。業平とは関係の無いエピソードのようですが、実際にあったお話なのでしょうか……。だとしたら、本当に可哀想ですね……(涙)。

それではここまでお読みいただきありがとうございました。何か感じる所がございましたら一言でも良いので是非ご感想くださいませ。
皆さんご立腹でしょうので、苦情の方も遠慮せずBBSに書き込んでやってください(苦笑)。


それでもどうしても、「こんなラスト納得してたまるかぁーっ!(激怒)」……という方。
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