「熱い……。胸が、灼ける……」(高耶さん)p58
↑原作ではないけれど、アニメの名台詞。直江と再会した時の高耶さんの言葉。これは是非入れたい。

「死んだ人間の残した想いは、こうやって山河に染みこみ、決して消えることはないんですよ」(直江)p88
↑1巻最大の名台詞でしょう。高耶さんも後々までずっと覚えていた、直江の言葉。

「証拠─ そんなものが……、必要ですか」「これまで十回換生したあなたを、私は一度たりとも見違えた事などありませんでしたよ。どんなに姿を変えても」(直江)p99
↑1巻最大の直江の愛の言葉(笑)。高耶さんも思わずときめいたに違いない。(願望)

「昨日は突然驚かしてすみませんでした。何せ急でしたから、高耶から説明する時間がなかったようで」(直江)p127
↑直江が高耶さんを呼び捨てにっ!……ただそれだけなんですけど(笑)、これが最初で最後でしょうか。

「成田譲の存在は六道世界の脅威」(高坂)p164
↑後々まで語られる名文句。

「礼はいつかおまえたちの《力》で返してもらうぞ。上杉景虎。直江信綱。そして、武田信玄。おまえたちは、……私の切り札だからな」p242
↑1巻から振られ、39巻にしてついに明かされたこの台詞の謎。この時から先生は高坂をちゃんとあの位置に置いていたのだろうか!?そして直江の果たした役割とはいったい……!
♦名台詞集♦
第1巻チェックポイント♪

・直高再会記念日は5月8日
・高耶さんのバイクはスズキの黒いGSX250R
・直江の車はセフィーロ
・橘義明は12回目の換生
・仰木高耶は11回目の換生
・景虎様は26歳で死亡
・p148で直江が初めて高耶さんと呼ぶ
・p187で高耶さんが初めて直江と呼ぶ
・高耶さんは2年3組
・直江は琥珀色のオーラ
・高耶さんは真紅のオーラ
・1巻の経過はおよそ7日間

・泣いた回数
高耶さん…0回 計0回
直江  …0回 計0回
・相手を抱きしめた回数
高耶さん…0回 計0回
直江  …0回 計0回
・自分からキスした回数
高耶さん…0回 計0回
直江  …0回 計0回
・愛してると相手に言った回数
高耶さん…0回 計0回
直江  …0回 計0回
仰木高耶(上杉景虎)
直江信綱
高坂弾正
成田譲
森野紗織
武田由比子
武田信玄
三条の方
主要登場人物  ♦…初登場
  あらすじ

長野県松本市の高校生・仰木高耶は、高校2年の5月、己の人生を根底から覆す運命の出逢いを果たす。
それは一人の男との出逢いであった。その男は自らを戦国大名上杉氏の家臣・直江信綱であると名乗り、死後生き人の身体に換生し、怨霊調伏の使命を遂行しながら四百年間生き続けてきた冥界上杉軍の一員であると言うのだ。
そして高耶こそが、直江と共に四百年間の時を生き続けてきた、上杉謙信の養子にして冥界上杉軍を司る総指揮者・上杉景虎の換生者であると直江は言う。
だが高耶にはそんな記憶は皆目無い。直江の言を信じられない高耶だが、親友の成田譲が武田信玄の怨霊に憑依されたことをきっかけに、現代に甦る戦国武将の怨霊たちによる戦い《闇戦国》に、上杉景虎としての記憶を失いながらも、上杉の換生者のみが持つ《調伏力》をもって直江と共に立ち向かっていくことになる……。
+++++ 感想 +++++
炎の蜃気楼第1巻……読み返すたびに高耶さんたちとの間に切ないジェネレーションギャップを感じる甘酸っぱい小説である(笑)。
この小説との初めての出逢いは、私が中学1年の時でした。母が古本屋で10冊ほどドサッと買って来て、親子一緒に読み始めたのが始まりです。
あの頃の私はその数ヵ月後、これほどまでにこの小説にオチることなど想像すべくもなく。
そして巻を重ねるごとにあんな凄まじい展開の話になるとは思うはずもなく。
いやぁ、ホント人生ってわかんないもんですねぇ……。
ともかく感想です。1巻はホントに、何もかもが初々しい。高耶さんが初々しい。まさにどこにでもいるような普通の高校生していて、なんだかムッショーに可愛らしい!(でも中学の頃はそうは思わなかったな〜。やっぱり大人の男に憧れてたから)
そういえば私って最初、三章ぐらいまで高耶さんじゃなくてが譲が主人公だと思ってたんですよね……ほんと、今考えると凄まじく信じられないよ……。なんでそー思うのかなー……。
そして作者様も初々しいですね。特にあとがきが……青春小説って……(爆)。ありえん……今のミラージュを知ってたら死んでもありえん……。直江を必ずさん付けしているところもなんだかカワイイです……v
特に一番初々しいのは直江でしょう!もうっ、そんなにステキな男性しててどーすんの!違うでしょ!直江はもっと野蛮で背徳的で常に心の奥底に爆発しそうな何かを抱え込んだ荒々しい狂犬のような男なのよ!……なんてつい叫びたくなるほど直江がとても良い人っぽいです(笑)。直江はまだこの時期、キャラが確立しきってなかったんでしょうね。台詞の言い回しが特にそうで、同じ1巻でも、アニメでの直江に関してはそういった類の違和感はありませんでしたし。
そして1巻当初の直江はシブイ系と何度も描写されてるんですよね。なんだか(あくまで私の)イメージと違うなぁ。むしろそれって九郎左衛門のイメージの気がします。景虎様に関与することで苦悩したり激情を迸らせたりしていない、外面な直江は渋い系ということなんでしょうか。しかしファイナルステージの直江は間違いなく野性味溢れたワイルド系ですから、本性をジワジワ現すと共に若返り始めたんでしょう(笑)。
この頃の直江にはまだ私は惚れてなかったんですよね。特に好きで贔屓していたキャラはいませんでした。やっぱり私って、禁欲的な直江よりも、もっと貪欲で野蛮で、隠すこと無く景虎様への狂気めいた愛を叫ぶ熱い直江が大好きなんですよ……vv

1巻は内容的にもとても面白いんですが、やはり『ミラージュなんだから』って思うと物足りないですよね。2巻からそれはかなりのスピードで解消されていくのですが、とにかく直江と高耶さんが全然ラブラブしてくれないのだもの……!(>_<)もの足りないよおお〜っ!(←ムチャ言うな)
いやいや……最初っからくっついてたら面白くもなんとも無いもの。何しろ四百年越しの熱愛。じわじわと攻めていかなければ……。それにしてもホントに何にもないんですよね。少しぐらい高耶さんが直江にちょっとドキッとするとかあってもいいような気もするんですがっ。直江はうにゃうにゃ悩んでるだけだし……。でも、その欲求不満はアニメの「熱い……。胸が、灼ける……」のシーンで見事晴らしてくださったので、本当に嬉しかったものです♪

1巻は小説では、ギャグの傾向が強いですよね。特に森野紗織がムード作ってます。
ってか森野、高耶さんになんつーヒドイことばっか言ってんだよっ!高耶さんと腕を組むなああ!高耶さんを他の女に押し付けようとするなああ!そして高耶さんは間近で見ずともいい男だああああぁぁぁーーーッ!!!
由比子の方も高耶さんと腕組んでやがったし、まったく油断も隙も無い!直江でさえ組んだことないんだぞ〜っ!(泣)

譲もね……、この頃の譲は嫌いじゃありませんでした。でもだんだん嫌いになり始めたら、嫌いじゃなかった時の譲も嫌いになってしまった。
特に「おまえはおまえだよ。変わっても高耶だよ」って台詞がどうしても許せなくて……。
この時は純粋にそう思って言っているのだろうけど、結果、その後の譲がどう見ても変わってしまった高耶さんを受け入れているように見えない。上杉景虎として生きはじめた高耶さんの人生を認めるよりは、もとの変わる前の姿に戻そうとばかりしているから。
私は、直江と再会できた高耶さんの人生が、今まで生きてきた四百年間で一番幸福な時間だったと思っているから、最上の選択肢だったと信じているから、だから直江との5年間をあたかも否定するかのような譲の言動がどうしても許せなくて……。

直江が、「景虎様のそばにいるべきなのは、自分ではなくこの少年なのかもしれない」のような台詞を言っていたのもとても哀しかった。そんなことないのに。直江の代わりなんていないのに。
直江はいつも譲に負い目を持っているようで、耀変黙示録でも、景虎様が再び換生したのはあくまで景勝のそばにいるためであり、自分に会いたかったからとか、そういうことではないのだと。そう言っていた直江に「絶対違うよ!」とどうにかして伝えたくなったものです。
確かに景虎様が換生したのは、謙信公の命によって景勝を見守るためであっただろうけれど、それは建前だと思う。
だって、景虎様は直江と離れることを望んでいなかったはずだもの。絶対そうだもの。断言できる。それはまた以降の巻で語りますけど。
とにかく高耶さんのそばには直江がいなくちゃダメなんだよ?わかってんの?……わかってないんだろうなぁ……(苦笑)。わかってたらこれからあんなドロ沼展開になんないだろうしね……。


今までずっと謎だった高坂のラストの台詞も明かされたし。もうっ、早よ次行きましょうよ次々!
次巻は1巻の欲求不満分を存分に解消してくれる名シーンがありますしね〜♪楽しみだ〜♪
序章 甲府市岩窪魔縁塚にて高坂と三条の方が封印を解く。
第一章
 炎渦の邂逅
日中の記憶が無いことを悩む譲。女鳥羽川の橋近辺にて、高耶と譲は由比子に会い、由比子が突如紫色の炎に包まれる。
第二章
 警鐘
譲の目の前で怨霊を調伏した直江は、譲に護符の腕釧を授け信玄を封じ込める。そして高耶は譲の家の前で、直江との運命の再会を果たす……。
第三章
 再会
駐輪場にて直江は高耶を呼びとめ、高耶の前で己の《力》を披露する。そして譲の前に現れた高坂は、譲の周辺に上杉が関与してきていることを知る。
第四章
 夢の跡
川中島、妻女山へと高耶を連れ出した直江は、高耶が上杉景虎の換生者であり、自分と共に四百年間怨霊調伏の使命を遂行してきた冥界上杉軍総大将であるという事実を告げる。
第五章
 面影
暗躍する高坂と三条。譲の警護を固める直江は、景虎のそばに必要なのは自分ではなく、譲のような人間なのではないかと思い、自嘲する。
第六章
 異変
三条は紗織に譲の腕釧を外すよう暗示をかける。高耶は信玄の徐霊が遅々として進まないことに苛立ち、換生者である直江に対し皮肉を投げかける。
第七章
 復活
直江との戦闘のさなか、成田譲の存在は六道界の脅威であると謎めいた告白をする高坂。一方、暗示をかけられた紗織によって譲の腕釧は外され、ついに信玄の霊が復活する。
第八章
 鵺の宴
武田の怨霊達で溢れかえる松本市街。紗織と共に怨霊達を薙ぎ払う高耶。直江は譲に憑依した信玄と一騎打ちし、窮地に陥る。
第九章
 覚醒
直江のもとに駆けつけた高耶。八句陀羅尼の力を借りて信玄を押さえ込み、高耶と直江は力を合わせ信玄と三条を《結界調伏》する。が、譲からの徐霊は成功するも、信玄の霊を調伏するには至らなかった。
終章 事後処理を終え、闘いを終わらせた高耶と直江。直江はこれからも先も、闇戦国打倒のため高耶に協力を頼み、松本から去っていった。
第一巻 炎の蜃気楼
集英社コバルト文庫
著者…桑原水菜先生
絵 …東城和実先生
1990年11月10日第一刷発行
定価420円
260p カラー有り
表紙…高耶さん、譲、森野
帯コピー…『コバルト読者大賞受賞作家の文庫デビュー作!』

納多直刃…当時5歳
     幼稚園年中組
─ほのおのミラージュ─