お吉は、愛人鶴松の出世と日本の為にという決意から法外な年俸と引き替えにハリスの 世話係として籠に乗って出向き、夕方から朝にかけて相手をした。当時、外国人は 恐れられていたから、お吉がアメリカ人の相手をしに行く為、籠に乗っていると人々は 移動する籠に向かって「唐人お吉」と罵り冷ややかな視線を向けた。次第に気持ちは沈み、 ハリスのもとへ行く途中でたびたび籠を止めてみては思い悩んだ。