山本直樹「BLUE」


弓立社(92年10月、ビッグコミックスピリッツ91年新春増刊号)


 高校卒業を前にした灰野と九谷ユリは、学校の屋上にある天文部の部室で

セックス遊戯にふける。ユリは、勉強もできるがセックスも好き。卒業した双子

の兄弟も、時折訪ねてきては、ユリと遊ぶ。卒業後、ユリは東京の大学へ推薦で

入学。灰野はその田舎町で郵便配達夫になる。

BLUEとは、彼らがセックスの時に、服用した興奮剤で、灰野の脳裏にはユリ

との出来事が、夢のように思われ、未だに薬の影響が残っているような錯覚に捕ら

われる。

 東京都青少年条例で回収指示の出たいわくつきの「エロマンガ」である。確かに

常識的には、高校生が屋上で桃色遊戯なぞもってのほか、と非難されようが、これ

は、テレビゲ−ムと同じ、仮想空間の世界である。現実の物語というより、遊びの

一つに過ぎない。つまり、セックスという行為から現実的な感情や倫理といったも

のを取り去って、ひたすら心地よさ、快楽のみを描いたのである。

これに関しては、「マンガ評論」の「仮想現実としての性表現」を参照してください。


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