外に出る時、この問題さえ解決すれば、どこまででも行けるというものは、トイレと食事である。最近、「付き添いの必要な方、お困りの方、ボタンを押してください。係員が対応します」とのサインを入り口につけた、大型スーパー店ができた。これはこちらから「お願いします」と言っていることより、大きな進歩といえる。
身障者用トイレはあるものの、介護者がいなければ用を足せないわたしには、けっこう「お願いします」というのは、勇気がいる。 話しやすそうな店員に声をかけて、お願いするのが定番だが、身障者用トイレに入ってしまって「非常用ボタン」を押すという手も有効である。 当たり前のことだが、何日か外に出ていない日は殊に言いにくい。臆病になっているというか、上半身が前に傾いて肺が小さくなっているというか、声にしにくい。 やってほしいことは、ただズボンや下着を下ろして、上げるという簡単な動作であるが、その場面ゆえに、頼みにくい。 それでも、長く外にいると、世の中、優しくなっているのか、介護の資格を持っている人が多いのか、女性の人でも、「わたしでよければ」というケースもみられた。 店員はお願いしやすいが、今度は行政の職員に言ってみようと思っている。 あとは、時間で動いている割には、身障者となると、いつも付いてくれる鉄道の職員。 これだけ、勇気を奮えば、一人旅も実現するかもしれない。 この間、トイレの介助してくれた眼鏡屋の店員、本当に気軽にやってくれた。 顔見知りというのは、かえって言いにくいけど、気持ちが通じれば、話が早い。 「いいですよ」。この言葉を得るのに、どれだけの精神力がいるか, もっと当たり前にするためにも、顔の広い存在にならないといけないと思っている。 障害者が社会に出る時、当たり前のことではないのが現実である。 しかし、顔なじみになれば、話しやすいし、物事を頼みもしやすい。 こと、トイレに関して、生きる上で不可欠のものであり、緊急を要するものであるから、もっと自然体でお願いしてもいいのかもしれない。 ('07/01/05) |