介護保険と、障害者支援費が統合される方向にあるとはよく聞く話です。しかし、支援費は保険でなく、国家が責任を持つ社会保障制度です。個人や家族が面倒を見切れない部分を国が税金でまかなっていくのは生存権を保障している近代国家として至極当然のことです。それを財源が乏しいという理由で責任を介護保険に統合することによって、回避しようとするのは、考えなければならないことです。第一に生来障害を持った障害者と、老後の介護のために保険をかける介護保険は概念として一緒にするのは如何なものかと考えます。第二に高齢者が必ずしも介護保険を使うわけではない未来への安心を求めているのに対して、障害者は今現に介護を必要としているという点です。このような障害者支援に対しては国家自らが責任を全うすべきです。 それにしてもこれら介護を行うという点で、そのノウハウは共通するところが多く、互いに学びあうことができると思います。健康だった人が徐々に障害を負っていくのは大変なことと思います。心のあるべき状態、どのような方向に思いを持っていけばよいのか、教え合う点は多くあります。高齢化の進む中、障害者の高齢化ということも深刻になってきています。その点で居宅介護の重要性はますます大きくなっていくことでしょう。 朝と夕方、福祉車両がずいぶん多く走るようになった。昼間の時間をディ・サービスで高齢者や障害者は過ごすことができる。その家族は体を休め、仕事やレクリエイションに時間を活用できる。しかし、ケアというのは、昼よりも、夕方から夜、明け方にかけても大変である。もしひとりで生活しているなら、なおさらである。昼は他の人も起きているので、助け合えるので、大事に至ることは少ない。むしろ人々が寝静まっている夜こそ大変ではないだろうか。特に脳血管障害の起こりうる高齢者の発症は明け方から朝が多いと聞いている。それは重度障害者でも同じことで、事故・発症はいつ起きるかわからない。 福祉施策において介護保険・自立支援の制度があるとはいえ、現に夜間対応はむずかしく、さらに充実させ選択肢を広げるべきであろう。べったり介護者が付くのも考えものだ。けれども、いつも日常生活に安心があり、保障された状態を確保していきたいものだ。 最近、在宅の高齢者・障害者向けに出向かなければサービスが受けられなかった業種の努力がなされているように思える。床屋を営業する人々がヘルパーの講習を受け、在宅の人に出張できることを貼紙で読んだ。 一方、歯医者も介護予防における口内機能向上を初めとして、在宅での治療ができるようである。この床屋と歯医者というのは、生活する上で時間の経過と共に必要とされるものである。身体の清潔と健康を維持するために欠かすことができないものである。これからの活躍を見守りたい。 超高齢化社会が進行する中で、サービスを行う側が積極的に患者のことを省みられることは、理にかなったことであり、うれしいことでもある。 |