「大丈夫ですか?」


お年寄りに走ってきた自転車がぶつかって、その自転車に乗っていた人がお年寄りに、「大丈夫ですか
?」と聞くと、大方の場合、「大丈夫です」という答えがかえって来るそうである。もしかしたら、骨折しているかもしれないのに、こう言ってしまうようである。日本人の奥ゆかしさ、周りへの気遣いとも言えるが、これはいけない。訊き方がいけないという。具体的に訊いてあげなくてはいけないのである。「どこかお怪我はありませんか?」「痛い所はありませんか? 」と訊いてあげるのがよろしいようである。被害者も、「泣き寝入り」してしまうことも良くない。痛いときは痛い、と言うべきだろう。分かれてしまえば、いつ会えるとも知れない。その時に言わなければ、取り返しが付かないはずである。一期一会、と言うが、声にして出さなくてはならないことがある。時の流れは取り返しが付かない。声にしないで後悔するより、声にして後悔する方がよほど良いのではないだろうか。(‘06/04/23)



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