「春うらら

 スケッチ画を描くにはいろいろな色を使います。けれども黒は使わないと聴きました。そういえば、そうですね。自然の中で黒、つまり100%光の届かないところはありません。黒くても光が当たって何かしらの色になっているわけです。山の中腹の蒼いような茶色、菜の花は明るい黄色、木々は生命力溢れる焦げ茶色。桜は淡いピンク、花を囲む葉は眩しい黄緑、その背後には真っ青な空、小川を泳ぐ鴨のはっきりとした緑と茶色、それを映す水面のキラキラした光の反射、畑を飛び立つ白鷺、天空を回る鳶、上空を通過するジェット機、その吐き出す飛行機雲、春になって本当に自然の色が溢れています。これからすみれ、パンジー、水仙、チューリップ、テッセン、藤、つつじ、さつき…もうさまざまな花が咲いて眼を楽しませてくれます。明るい日差しを浴びて、散策を楽しむのに絶好です。このつかの間の気持ちのいい季節を大切に。 
('09/03/16)

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