「短い限られた時間が、貴重なものに感じる季節」

 白や紅の梅の花がほころび、春が近い感じがする。今年は暖かいので、花が開花するのも一週間ほど早かった。受験シーズンのこの頃、大宰府天満宮、菅原道真の詠んだ歌が想い起こされる。「東風吹かば にほひをこせよ 梅花 主なしとて 春を忘るな」。左遷され、今は遠く離れた京都の屋敷の梅に語りかけているもの。その梅も別れていることを知ってか、「東風」に乗って道真のもとに飛んできたという、飛梅伝説。 (ちょうど、春一番が、立春から春分の間に、その年に初めて吹く南寄り(東南東から西南西)の強風というので、「東風」と関係があるのかもしれない)。別れはつらいものである。春風が吹くたびに、一日一日、陽が長くなり、暖かくなっていく。そんな中、せっかく仲良くなった学友・仲間との別れのためか、学年の年度末・学業の卒業までの短い限られた時間が、貴重なものに感じるように思う。それでも、桃が咲き、桜が咲く。 
('09/02/14)

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