「桜三月浮かれ時」


3月、この季節は、ほんのもう少しすれば暖かくなるという気持ちで心が弾んでくるようだ。まだ寒いのだけれど春の兆しがうれしい。伊豆の方からの桜便り、連日のように放送各局で取り上げられている。日の光が強くなることの喜び、期待が、外へ出ようという強い動機付けを与えてくれる。縮こまっていた体を伸ばして、花々の咲く畑にいざなうようだ。「春は名のみの風の寒さや」、早春賦という歌の冒頭である。そう、確かに風は寒いけど、桃は咲き、そしてどこも桜が咲く。小鳥はピーチク、パーチク、上昇気流に乗ったとんびが輪を描いて優雅に飛ぶのを野外で見るのも楽しみである。眠っていた生命が起き出すこのころ、陽気さを求めて、また新しい人との出会いを求めて、部屋から出てみるのは、大きな楽しみである。('08/03/03)


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