『さがすのを止めたとき……』


 「さがすのを止めた時、見つかることもよくある話で……」という歌がある。あまり一生懸命になっていると、見えているものも見えなくなる。アリストテレスも金属の比重の関係を風呂に入った時、「わかった
!」と叫んだという。忙しい人がトイレに入ると、名案が浮かぶということもよく聞く話だ。本分から離れた時、可能になるということであろう。私も脳性まひによる不随意運動を止めようとすると止まらない。「手足を動かすな」という命令自体に「動く」という命令が付随しているようなのだ。本来なら、「手足を動かすな」という命令自体おかしいのである。「止めた時」不随意運動が止まるわけだ。ということは、目の前にある事柄に気を取られるより、少し休んだ方が、「ポン」と良い結果が生まれることもありうるわけだ。仕事も、遊びも、起きている時、いつも筋肉緊張している私にとって、いや、他の人にとっても、「止める」というは大切なキーワードかもしれない。('07/12/09)


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