「冬もまた美しく

 この時期は寒く、空気が澄んでいて景色がとてもきれいです。夕方家路につくころ傾きかけた太陽が西南の空一面に黄金の色に光を放って美しく、車いすの運転がむずかしいほどまぶしいです。その空を見上げると昼の月が半月でぼんやり白い色で微笑んでいます。北の方向を見ると富士山が一年で一番誇らしげにすそ野まで大量の雪をまとい、その雪の影で富士山全体が立体的に見え、寒い西風に吹かれて東側に山頂の覆いかぶさる渦巻く大雲が流れて、稜線の雪を巻き上げています。箱根の山々がさらに傾いた日を真横から浴び緑葉の一枚一枚もわかりそうにはっきり浮かび上がってきます。その影が見えてパノラマのようで手にとって触れることができる如くです。寒い冬でも大自然は美しい衣を着て暖かい春に備えているかのようです。わたしたちもどんな時も人の目を喜ばすそんな存在でありたいものです。




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