春はあけぼの!


  春はあけぼのが素晴らしいです。節分・立春をあとにしたこの時期、空気が澄んでいて遠くまで見渡すことができます。空の暗さとまだ明けぬ日の光の織り成す神々しいばかりのグラデーション。高台から朝日が昇っていくのを窓から観ていると山々が裾の方からオレンジに染まっていくのが素晴らしいパノラマになって映ります。視野をぐるっと回してみると連なる山が重なって「ああ、この辺は盆地なんだ!」と改めて気付かされます。ですから、日の出時間になってもすべてが日に照らされるのではなく、オレンジの明るさは舐めるように山の裾を駆け上り、頂上に達します。その光と影の彫り上げる立体感。大地が太陽に支配されていきます。すべてが日の光で明らかになった時、大地の劇場物語は終わり日常が始まります。



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