「夏のにぎやかさ 」
「静けさや 岩にしみいる せみの声」。芭蕉の句に言うように、道を歩いていて、雑木林の下を通るともう、音が一色になって、せみの声だけになります。樹木の葉がもこもこに茂っていて、空にもくもくとわき出る入道雲と似ているなと思います。青い空に白い雲、深い緑の葉、そして猛烈なせみの声。夏の暑さとエネルギシュさを感じます。夏の花の色はこれまた眼に濃い。アサガオはやさしいけれど、ハイビスカスの赤、ひまわりの黄色、茶色、クレマチスやアパカンサスのあざやかな青、というように、散歩していると、南国のイメージを思い起こしてしまいます。「暑い、暑い」と叫んでみても、芭蕉の言う、「静けさ」はなかなか来ません。けれども、時の流れは確実に速く、あいさつ文は、はや、「残暑お見舞い申し上げます」になっており、立秋が過ぎ、夏の去る日は必ず来るのです。 |