「上弦の月」


上弦の月……と言えば、昭和の後半が青春だった人はほぼ皆、知っている吉田拓郎さんの「旅の宿」です。この歌には「浴衣の君はすすきのかんざし〜♪」と歌われており、秋の頃とわかります。「上弦の月だったけ 久し振りだね 月見るなんて〜♪」。吉田拓郎さんの歌ではおそらく旅先で温泉にでも入ってから、お酒を酌み交わしつつ、空を見上げたのでしょう。午後6時位ではまだ南の高い位置にあり、部屋からは見えないので、おそらく午後6時半頃から差し向かいで飲みだし、午後8時位に西の空を見上げたら、ちょうど夜空に上弦の月が輝いて見えたのでしょう。ロマンチックな旅の夜です。この時間帯で南から西の位置であったら、下弦の月は出ていません。ですから、同じシチュエーションだったら、迷わずに「上弦の月が綺麗だねぇ」と言えばいいのです。まさに夕月夜です。
 


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