「ここも静岡ですね!」


 タクシーで家からJR函南駅まで。車の向き、「気いきかしてぐるっと回ってきたんやけど…」という運転手さんに、車内で、「どこの出ですか」と訊いたら「日本です!」と返ってきて、「ああ、そうですか」で受け流そうかと思ったけど、「わたしは滋賀です」で返した。「なら、近江といわなきゃあ」ときて、「丁稚羊羹(「でっちょうかん」と発音する)、近江牛、信長の好んだ赤いこんにゃく、豊臣秀次のお城、時代劇でよく使われる八幡堀…、あの駅前の肉屋、なんちゅう名あやったかなあ」。あっ、もうこりゃあ、同郷だと確信して、訊いたら、彦根の近くの出のようで、わたしの父と同じく琵琶湖の豊富な水のように、水が多い三島に水を求めてやってきた会社にいたという。「どこまで行くんです?」と訊かれて、「静岡です」というと、「ここも静岡ですね!」ときた。冗談ともとれたが、年を取っても遠く彦根のあたりから見れば、函南は駿河あたりなんでしょう。
 


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