「いなす」


 人との関係がむずかしいと感じることは多々あるものです。直接ぶつかれば傷つくことがあります。壊されることだって覚悟しなければならないでしょう。そんな時に、「いなす」ということが良いように思います。「いかす」ではありません。ちょっとわかりにくい言葉です。関西弁で、「いなす」と言えば、「かえす」の意味にとられます。スポーツ的に考えるとちょうど良いかもしれません。この語は、相手の攻撃の力を直接受けるのではなくて、かわしていく、またその力を利用して相手に反撃するチャンスをつくる、というような技に使われています。こうした行動は、勝ち負けを決するものではなくなるので、ずっと続くことにもなります。社会生活の中の人間関係や会話など、勝負で終わってしまうのでなく、そのあとも良い状態を維持するにも、「いなす」という技は大切なことの一つだと感じます。


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