障害を負った神―恵比寿

 初詣で三島大社に行くと、お札に恵比寿さんの姿があり、この神は大鯛を抱えているので大漁の神で、徳福の神として厚い崇敬を受けているそうです。しかし、片足が地に着いていないのが気になります。古事記には、「イザナギ、イザナミの子、ヒルコは、『わが生める子良くあらず』」といわれ、「三年経っても立てず、舟に乗せて流した」とあります。このヒルコが海の神、恵比寿となって、信仰を集めることになります。ヒルコを、「日る子」(太陽の子)とする説もあります。「えびす」を、「夷」、「戎」とも書くので、王権の子孫としてはふさわしくなく、けがれとして遠のかされたことは間違いないように思います。それを民衆が哀れんで、敬ったのです。


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