「‐傘の「か」‐」


 「♪雨あめ ふれふれ かあさんが 蛇の目でお迎え うれしいな♪」。学校の放課後の様子を唄った唱歌です。田植えが終わった頃、梅雨に入り、朝、降っていなかった雨が降ってきて、母親が傘を持って迎えに来てくれた時の安心感と嬉しさ。歌の中の、「蛇の目」は、母さんがこわい蛇のような目をして迎えに来たということではありません。和傘のことです。この「傘」という語は、頭に、「か」が付いています。むかし、田んぼの中で作業をする時や、旅する時に着た、「みのかさ(蓑笠)」も同様ですが、頭に付けることなどに関係のあるものは、頭に、「か」が付くことが多いと聞いたことがあります。「かしら(頭)、(長官)」、「かみ(上)、(神)、(髪)」、「かお(顔)」、「かぶる(被る)」、「かぶと(兜)」、「かんむり(冠)」……。「かっぷ(captain)」までいくと行き過ぎでしょうか。けれども、神から人の頭へ、雨は天から降り人にかかる、それを受けるものは特別なもの、祝福を受けるもの、安心と喜びを感じるものに通じるものなのかも知れません。
 


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