「送り火の後は静か」


「♪『…送り火の後は静かね』って♪」。さだまさしの曲、「線香花火」の歌詞の一節です。

八月は何か心動かされる時節です。猛暑が続き、この月に入ると二つの原爆記念日があり、終戦記念日に向けて太平洋戦争の実話などが放映されます。そのあとには旧盆があり、亡くなった親族や先祖に想いをはせます。そして、送り火…。京都の大文字焼き…。亡くなった人に対する気持ちは、お坊さんがいくら引導(いんどう)を渡して、亡くなった人に、「お前は確実に死んだのだ!」と宣言しても、やはり近しい人には死んではいないのです。迎え火により家に帰って来るのです。一緒に果物や野菜を食べ、家の庭先で花火などを楽しみ、はしゃぎ回る子らに手を焼き、追いかけ、遊びます。それゆえに、送り火をしたあとは、「静か」なのです。


「エッセー」へ