障害を持った将軍―徳川家重


徳川吉宗の子、第九代将軍家重は、酒のみで、頻尿症と尿漏れがあり、言語が明瞭ではなく、彼の言葉を理解できたのは、大岡忠光だけだったとされます。しかし、埋葬された家重の遺体から明らかに奥歯の磨耗がありました。アテトーゼ・タイプでは物を強く噛む傾向にあります。脳性マヒの人たちは、知能は正常の場合が多いのです。彼の言葉を理解できたという大岡忠光、要するに家重に対して真剣に向き合った者が、彼しかいなかっただけのことではないでしょうか。さっぱり分からない重い言語障害もいつも聞いていると、だんだん分かってくるものです。酒飲みというのも、
アテトーゼからくる、筋緊張を和らげるためであったのかもしれません。


-徳 川 家 重-


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